福知山史談会の総会講演を前に−
 神と鬼の山 1 日本の鬼の交流博物館館長 村上 政市

神々の足跡 −天照さんと海人族−

 近年の由良川流域における埋蔵文化財調査の成果は、めざましいものがあります。全国的に注目された広峰古墳の景初四年紀年銘鏡の出土は、その最たるものです。これら多くの出土品は、当地方の古代の栄光をしのばせてくれます。まずは、そうした成果を、みんなで再確認しあいたいものです。

 ところで「実証」が重視される世の中、郷土史の研究においても、伝承や伝説などは、とかく他愛もないものとされがちです。勿論、史実との混同は避けなければなりませんが、伝承や伝説を、ひたむきに生きた祖先たちが暮らしの中で育み、その記憶の深層にあったもののエキスととらえれば、ものの見方に幅ができます。日本人は、古来、人を神としてまつり、平気で人を鬼と呼んできました。神を実在した人々の投影と考えれば、ロマンがひろがっていきます。

天照神社 一例をあげましょう。福知山市今安の「天照さん」こと天照玉命神社。発掘調査が物語るように、福知山でもいち早く開けた豊富郷の総社で、福知山では数少ない延喜式内社の一つです。この「天照さん」と、宮津市天橋立、傘松公園の下にある丹後一の宮こと「籠(この)神社」、そして若狭湾の冠島にある老人嶋(おいとしま)神社の祭神が同じ神なのです。

 地図上でこの三社を結んでみると、古代、若狭湾と由良川が、人々や文化を運んだ海の道であり、川の道であったことがわかります。この三社の祭神、天照国照彦天火明命(あまてるくにてるひこあまのほめかりのみこと)は、当地方の古代を開拓したと思われる海人族(あまぞく)の祖神とされる神なのです。

 「天田」という地名は、古代の皇室御領の田部に由来すると説明されてきましたが、私は「アマダ=海人田」説に傾いています。

 浦島太郎の話は、海人族が運んだ話です。福知山の戸田に浦島神社があっても不思議ではないのです。由良川流域の海人族の足跡を一緒にさぐってみませんか。

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