生き残り賭ける地方自治体 福天・綾2市3町の合併問題

(5)天田・加佐郡3町の事情

「合併しない」選択は困難 どこも苦しい町財政をやり繰り


 合併問題は、三和、夜久野、大江の3町にとって厳しい選択を迫るものになっている。どの自治体にも「合併しない」道はあるが、町財政を考えればその選択は難しいのが現実だ。


 3町の財政力指数は平成11年度で0.169〜0.182。町財源の大半を国の地
三和町役場
三和町役場
方交付税や補助金などに頼っている。どこも苦しい「台所」をやり繰りしている。


 地方交付税は、各自治体の人口規模などを基に試算されて決まる。人口規模にかかわらず、行政事務経費はどこも同じようにかかるため、日本のどこに住んでも教育や福祉などの住民サービスが平等に受けられるよう、人口の少ない町ほど手厚く配分されてきた。


 ところが昨年6月、政府の経済財政諮問会議がその傾斜配分の見直しを盛り込んだ「骨太の方針」をまとめた。これを受けて国は、14年度から地方交付税の削減を打ち出した。


 財政力の弱い小さな自治体に、一層合併を迫るものだ。合併後10カ年の交付税額の保障や、旧市町間の行政水準、住民負担、公債費(借金)の格差是正措置など様々な優遇策を打ち出す一方、交付税削減で合併の早期決断を促す。


 3町は、ともに人口が減少傾向にある。総人口に65歳以上が占める高齢化率は、いずれも30%を超えている。これまで過疎と高齢化という共通の課題を抱えながら、それぞれ独自に地理的条件や自然環境、鬼
夜久野町役場
夜久野町役場
伝説などを生かして町づくりを積極的に進めてきた。


 福知山市を真ん中に挟む形で3町は存在する。互いに隣接する町なら、効果は少ないものの3町だけで合併する手もあるが、ばらばらでは、それも出来ない。福知山市との1市3町案、または綾部市を加えた2市3町案を考えるのが一般的だ。


 地理的、歴史的には三和町が綾部市と、大江町は舞鶴市と、夜久野町は府県境を越えた兵庫県の町との合併の考え方もあるが、実際は難しい。今のところ、これまでのかかわりから、福知山市との合併案が最も受け入れやすいパターンといえる。


 全国では、小さい町であっても福島県矢祭(やまつり)町のように「合併しない」ことを町議会で決議しているところもある。同町は、人口約7300人で、財政力指数は0.22。高齢化率も40%近い。


 同町は記者の電話取材に「算定では交付税の削減額はそう大きくない。既に老人福祉施設を始めインフラ整備はほとんど終わっている。行政改革や節約でやっていける。合併するなら郡内3町1村となるが、
大江町役場
大江町役場
同じような小さい町が一緒になっても効果が薄い」と話す。また、過去の「昭和の大合併」で騒動があり、そのしこりが今も残り、二度とその轍(てつ)を踏んではならない|という思いもあるようだ。


 しかし、国からの地方交付税が減っていく中、こんご多様化する住民ニーズにどこまでこたえられるのか。「住民の覚悟」なくして、その決断は難しい。


今後は情報提供や独自の講演会、地域懇談会の開催で住民の意見を聴きたい
 天田地方町村会の会長を務める田中敬夫・三和町長は「どこも単独で生き残りたいという思いはある。しかし、国の財政が苦しく、新年度から交付税が削減される中で、合併せずに一自治体の努力だけでどこまで住民ニーズにこたえられるのか疑問だ」と、苦しい胸の内を明かす。


 今のところ3町とも合併に向けた具体的な動きは見られない。町の広報誌で一般的な合併の動きを紹介したり、町議会に特別委員会を設けるところもあるが、町民に幅広く意見を求めるところまでは至っていない。


 3町は、今後は町民に合併に関する情報を広く提供する一方、それぞれ独自に講演会や地域懇談会などの開催を検討していき、住民の意見を聴きたいとしている。


 まちを潤す産業がない全国の小規模自治体はどこも同じ悩みを持っている。国の財政がひっ迫し、将来的に交付税が増えることは考えづらい今、それを踏まえた決断が迫られている。


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