生き残り賭ける地方自治体 福天・綾2市3町の合併問題

(4)福知山市の事情

近隣と比べ余裕ある財政 存在大きい工業団地からの地方税

福知山市は、第3次総合計画のなかで、目標数値として「平成27年に人口10万人」をうたっている。しかしこれは、合併を前提にしたものではない。1月末現在の市人口は6万9249人。10万都市建設への模索は続くが、果たして13年後に達成できるのか。


 福知山市の場合、府内での合併試案では、三和、夜久野、大江3町との1市3町案と、綾部市を含む2市3町案がある。それにもう一つ、「合併しない」という選択肢もある。


 北近畿の中央部にある福知山は、昔から京阪神と山陰、丹後とを結ぶ交通の要衝として栄えてきた。早
福知山市
10万都市を目指す福知山市
くから鉄道が敷かれ「鉄道のまち」とも呼ばれた。近代は商工業を中心に発展した。


 その歴史は、合併の繰り返しだった。明治22年の福知山町誕生以後、近隣の村々を取り込む形で大きくなった。昭和31年の佐賀村の分村合併を入れると実に16村と一緒になった。人口は33年で6万4689人。


 これをピークに減少した人口は、46年ごろから再び増加に転じる。下水道など都市基盤整備が進み、居住性が高まったことがある。それに何よりも長田野工業団地への企業立地が大きい。パートを含めた従業員は5千人を超える。家族を含むと市内居住者は1万人を超えるともいわれる。


 しかも従業員や立地企業が納める市民税、固定資産税などの地方税は市税収入全体の大きなウエートを占めている。年間ほぼ固定した税収があることは、市にとって大きな財源になっている。


周辺3町とは広域消防が定着し、行政レベルの管轄エリアも同じ
 また、市の発展には周辺自治体が大きくかかわってきた。特に隣接する三和、夜久野、大江3町、そして兵庫県市島町とはかかわりが深い。血縁関係はもちろん、経済的にも太いつながりを持つ。多くの人が福知山で買い物をし、「まち」は潤ってきた。就労の場でもあり、一つの経済圏が出来上がっている。


 こうした背景から、福知山市が合併するなら3町と−という声が、今のところ多い。すでに1市3町の広域消防が定着している。府の行政レベルでも地方振興局や警察署などの管轄エリアが同じ。一般市民の中に「一つになってもそう抵抗はない」と話す人が少なくない。


 まちの豊かさを示す数値に財政力指数がある。市の場合は平成11年で0.648。行政運営経費を地方税などの自主財源で賄える割合が64.8%ということになり、残りを国からの地方交付税に頼る。


 指数が「1」に近いほど財政に余裕があるとされる。市は、決して豊かではないが、近隣市町と比べれば、余裕があるといえる。規模は違うが、ほぼ京都市並みの財政力を持つ。このため地方交付税の減額が大幅なものでない限り、合併を急ぐ必要はないという見方もある。


 市の田中定行企画部長は「合併しないからといって、国が一銭も福知山に交付税は出さないということにはならない。合併自治体に財政支援措置を講じるといっても期間は15年。その後に厳しい現実が待っていることに変わりはない」と話す。


 人口だけを見た場合、3町と合併すれば約8万3千人、綾部市を加えると約12万人になる。だが一方では、一般に言われる旧市町間の格差是正のための行財政負担、広域化による行政サービスの低下など弊害が懸念される。


 ただ、先ごろ開かれた「これからの市町村のあり方を考える講演会」で、講師の政策研究大学院大学助教授、辻琢也氏は「短期的な『金銭勘定』にとらわれた合併は成就しない」と語り、「これから自治体が最低限度の都市的行政を営むには人口10万人以上が一つの目安になる」と指摘した。


 中村稔市長は「合併を含めていろいろ選択肢がある。住民合意が必要で、十分に論議を尽くすべきだ」と中立の立場を取っている。


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