生き残り賭ける地方自治体 福天・綾2市3町の合併問題

(3)住民発議と交付金

3年前合併の篠山市担当者 論議は首長や議会主導で

 「昭和の大合併」に次ぐ「平成の大合併」と位置づけて国が推進している今回の市町村合併。バブル崩壊以降、日本経済の悪化が続き行財政運営が困難となって国が採った「日本と地方が生き残る手段」とも言われる。


 平成7年4月に国は、市町村合併特例法を一部改正して施行した。改正では、首長に合併協議会を直接
篠山市誕生
篠山市役所の銘盤除幕式。4町が1つの市になった
請求できる住民発議制度の創設や、合併後のまちづくりのための財政支援策(飴)などが盛り込まれた。


 改正した特例法の財政支援を受けるには、17年3月までに合併を終えねばならない。だが「飴」にあたる市町村合併支援プランの内容が提示されたのは13年8月だった。


 その間、国は住民発議制度を活用して地方分権後の受け皿となる自治体同士の自主合併を進めるため「住民による論議を活発に進めてほしい」というスタンスをとった。だが具体的な財政支援が見えないなかでは、行政や議会も含めて論議を深めることは困難だった。


 同時に、姻戚(いんせき)や交友関係、経済活動などで関係があっても「相手」のある合併に関しては、組み合わせの市町の地域住民が集まり論議して発議することは極めて難しい。


 住民発議について平成11年4月1日に誕生した兵庫県篠山市の大対(おおつい)信文・政策部次長は「無理だ」と明言する。同市は多紀郡の篠山と西紀、丹南、今田の4町が合併して市制を施行した。


 同郡では、昭和30年の大同合併で18村が2町4村となり35年に4村が町制を敷き6町となった。6自治体を1つにする合併論議は33年から48年にかけて5回起こったが、すべて不調。50年に篠山と城東、多紀の3町が合併し篠山町となった。


 合併でこれほど揺れ動いた篠山市であれば、常に住民の関心も高いように思われるが、大対次長は「住民から合併問題を提起したり、町境を越えて論議をする動きは出てこなかった」と語る。


 大対次長に理由を聞くと、合併によるメリットとデメリット問題に話が終始し、隣接する自治体の将来展望に立ったまちづくりについて考えることは、住民サイドでは難しいようだ。最終的に大対次長は「合併論議は首長や議会の主導で進めざるを得ない」と言う。


合併した自治体の「飴」のため、しなかった自治体が交付金配分で「割を食う」

 地方交付税交付金の総枠は限られている。国の将来的な財源を考えると、その枠は小さくなることが予想される。


 一方、合併した自治体には、各自治体の合併前の試算方法による普通交付税の合算額が10カ年保障され、その後5カ年は、急激な減額をせず”激変緩和”の措置をとるという。また、合併特例債などの様々な財政支援を掲げている。


 交付金の総枠は変わらない。そのなかで、合併特例による財政措置が優先され、残った財源が合併をしなかった自治体に配分されることになる。合併した自治体の「飴」のために、合併しなかった自治体は「割りを食う」というわけだ。この割りが「鞭」となる。


 10カ年は交付税額を全額保障し、更に5カ年は緩和策を講じるという。このことは、合併した自治体とそうでない自治体とで、平成27年度には「激変を緩和しなければならないほど」交付税額に格差がついているだろうことを意味する。


 「特例法は時限立法であり、17年3月以降の合併でも新たな特例措置が講じられるのでは」という見方もある。だが、その時点でも「飴」は、かなり小さくなっていることを頭に入れておく必要がありそうだ。


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