連載企画「BSデジタルって何?」

 2000年12月、BSデジタルハイビジョン放送がスタートします。「それって何?」と、お思いの方が大半ではないでしょうか。今回は「BSデジタル放送って何?」と題しアウトラインをお伝えします。2回目以降「今までのテレビとどこが違うの?」、「チャンネル紹介・1」、「チャンネル紹介・2」、「どうしたら見ることができるの?」と5回連載でBSデジタル放送について、両丹日日新聞ほか全国の新聞社・雑誌社にテレビ欄データや番組解説を配信している「株式会社日刊編集センター」に説明してもらいます。

BSデジタル放送って何?
 2000年10月、現在使用されている放送衛星(東経110度)と同じ位置に「B−SAT2号」は打ち上げられる。その衛星を使って放送されるのがBSデジタルで、NHKを始め、民放などのチャンネルが増えることになった。

       写真=NHKデータ放送のイメージ


 ポジション順に紹介すると
1ch〜3chはNHK
4chがBS日テレ(日本テレビ=読売テレビ系)
5chがBS朝日(テレビ朝日=朝日放送系)
6chがBS−i(TBS=毎日放送系)
7chがBSジャパン(テレビ東京系)
8chがBSフジ(フジテレビ=関西放送系)
9chがWOWOW
10chがスターチャンネル
と、合計テレビ8社が放送を開始する。

 最大の特徴は従来のアナログ方式からデジタルになること。映像や音声などデータの圧縮が可能になり、より多くの情報を伝達できることになる。その結果「1局で3つのチャンネル」や、映画を見ながら「ニュース・天気予報」を知ることができるデータ放送。それに加えてラジオ放送までも可能となった。

 地上波の常識を超えた高画質、高音質、放送局と視聴者との双方向のやりとり、といった特徴もあり、まさに21世紀の放送形態と言えよう。

 また、ラジオはテレビ事業者が兼営で行う放送の他に、ミュージックバードやセントギガなど4局、メガポート放送やウェザーニューズなどのデータ放送専門局7局の放送開始も決まっている。

今までのテレビとどこが違うの?
 
 普通のテレビの走査線(画面に近づくと見える横の線)は525本だが、デジタルハイビジョンでは1125本になる。近づいても走査線が見えないため、35ミリ映画並みといわれるほどの高画質が実現。画面も従来の4対3から16対9のワイド画面となり、横長効果で映像情報は5倍もアップする。

 音質もサラウンド・ステレオになる。番組によっては5チャンネルステレオ+低音強調で放送されるものもあり、劇場並みの臨場感を楽しめる。

 また、デジタルハイビジョンで放送する7局では、モードを標準テレビに戻すことでマルチ放送が可能に。ひとつの時間帯に3つの番組が見られるのだ。例えば、映画だったら3タイトルを流せるし、ジャンルの違う3番組でもいい。野球中継が延長になった時点で標準テレビになるが、引き続き野球を放送し、野球の次に予定されていた番組もデジタルハイビジョン(低レート)で流せるといった具合。

 いつでも好きな時に欲しい情報を引き出すことができるのがデータ放送。天気予報、ニュース、プロ野球の試合経過や結果。料理番組を見ながらそのレシピを映し出すなど、番組関連情報も取り出せるスグレモノだ。

 テレビショッピングの申し込みやクイズ番組参加といった、双方向でのやり取りも可能になる。各局がどんなアイデアを打ち出してくるか大いに楽しみである。


チャンネル紹介1
 
 デジタル放送ならではの各局の編成案を、ステーション・イメージとともに紹介する。

NHK

      写真=NHKデータ放送のイメージ
 NHKのBSデジタル放送は、「内外情報&スポーツ波」のデジタル衛星第1テレビ、「カルチャー&エンターテインメント波」のデジタル衛星第2テレビ、そしてデジタル放送技術を駆使した総合編成となるデジタルハイビジョンの3チャンネル。第1と第2は現在放送中のBSアナログとサイマル(同時放送)だが、大型ドキュメンタリー企画や紀行番組、中継ものなど、いずれもデジタル放送の特質を最大限に引き出す番組がめじろ押し。

日テレ
 民放五社の中でも、特にニュース・情報を中心に局の特性を打ち出そうとしているのがBS日テレ(日本テレビ系)。「NNN24」をベースに、海外のニュース専門チャンネルなどと提携し、24時間ノンストップのニュース報道が可能となる。放送全体の7割をニュースで構成、残りをスポーツものなどに充てていく方針でハイビジョン中心。

テレ朝
 一方、ゾーン編成で特徴を打ち出すのがBS朝日(テレビ朝日系)。編成コンセプトは「スペシャル」「スポーツ」「シネマ&ドラマ」「情報ライブ」「キッズ」の5つ。独立データ放送にも力を入れており、デジタル放送ならではの総合編成が魅力だ。

TBS
 デジタル放送の特徴である双方向コンテンツに力を注ぐのがBS−i(TBS系)。テレビを視聴しながらリモコン操作だけでクイズ番組に参加したり、データ放送を活用した本格的なテレビショッピング番組が登場する。また、話題の小説を気鋭の映画監督がテレビドラマ化するシリーズも人気を呼びそうだ。

チャンネル紹介2

テレビ東京
 現在の地上波テレビとは一線を画した特性を打ち出そうとするBS各局にあって、地上波テレビの人気コンテンツを随所にちりばめ、衛星放送のメリットを最大限に生かそうとするのがBSジャパン(テレビ東京系)。カバー率が60%といわれる地上波局の悩みが一挙に解消できる上に、広告媒体としての価値も上昇することになる。

フジテレビ
 BSフジ(フジテレビ系)は「情報とエンターテインメントのおもちゃ箱」のチャンネルイメージで視聴者獲得に力を入れる。若い世代にターゲットをしぼった新企画や、データ放送、インターネットと連動するインタラクティブ・ヤングゾーンなどは、文字通りライブ感覚あふれる未来派志向の娯楽情報番組になりそう。

WOWOW 
 以上の民放5社は無料放送だが、有料放送で視聴傾向に一層の差別化を狙うのがWOWOWとスターチャンネル。1チャンネルだけのハイビジョン放送のほか、3チャンネルの視聴が可能なマルチチャンネル方式を取り入れるWOWOW。セールスポイントの一つが、どこかで必ず映画を放送しているというマルチチャンネルならではの編成。さらに最新の映画や話題のスポーツ・ビッグイベントなどを、番組ごとに料金を発生させるペイパービューという課金システムで提供していく。

スターチャンネル 
また、映画専門チャンネルのスターチャンネルは、CS放送での実績をベースに、月間約120本もの映画を放送。専門チャンネルとしてのイメージの浸透を図っていく予定だ。

どうしたら見ることができるの?
アンテナ
 まずアンテナだが、現在放送中のBS放送と同じ東経110度の静止軌道に打ち上げられるため、そのまま使用できる。集合住宅で一括受信(BS−IF電送)しているところも問題ない。新規にBSアンテナを取り付ける場合は、一定以上の性能を持つデジタルハイビジョンアンテナがお勧めだ。

チューナー
 見るために不可欠なものはBSデジタル専用チューナー。これを買えば現在使用中のテレビでも見ることができる。しかし、高画質のデジタルハイビジョンを楽しみたい場合は、対応テレビが必要となる。各家電メーカーもチューナー内蔵テレビを売り出し始めたが、まだまだ高価。開局時期と重なる年末商戦に注目したい。
 また、ケーブルテレビでの受信は、事業者によって開始時期や電送方式が異なる場合もあるので、各事業者のアナウンスに注意したい。

ビデをは?
 VHSビデオなど、これまでの録画機器は使用できるが、画質は現行のBS放送を録画した時と同じだ。高画質のまま録画するためには、W−VHS方式のビデオが必要となる。BSデジタル放送の予約録画は番組ガイド(EPG)で行うと便利で確実。

シドニー五輪(9月15日から)で試験放送
 なお、開局前の実験放送では、7月21日からの沖縄サミットで行った。試験放送は9月15日からのシドニー五輪などが予定されている。
 BSデジタル対応テレビや専用チューナーには電話回線への接続コードが付属している。これによりテレビ局と家庭がワン・トゥ・ワンで結ばれ、データ放送による双方向サービスが可能となるのだ。テレビは情報端末として生まれ変わろうとしている。これからは情報を「上手に選択」することが、豊かで充実した生活を送るためのポイントになるのかもしれない。
                                 =おわり