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両丹日日新聞2017年11月28日のニュース

がん克服した不屈のJリーガーが引退

大槻優平選手 京都府福知山市今安出身でプロサッカー・J2ツエーゲン金沢のMF大槻優平選手(29)が、今季限りでの引退を表明した。不屈の闘志でがんを克服し、プロになる夢をかなえた異色の選手。地元のサッカー少年たちの憧れの存在で、金沢の主力として6年間活躍。最後は多くのサポーターたちに惜しまれながら、ピッチを後にした。

■ツエーゲン一筋 大槻優平選手■

 地元では実弟の周平選手(28)=J1神戸=と「Jリーガー兄弟」として知られる。

 優平選手は、3つ上の兄の影響を受けて小学1年生から競技を始めた。幼い頃から頭角を現し、地元では有名なサッカー少年だった。小学生のときは修斉サッカースポーツ少年団、中学では福知山ジュニアユースクラブで練習に励んだ。

 高校は親元を離れ、京都サンガユースに所属。1年から試合に出るなど活躍したが、トップチーム昇格はならず、静岡県の浜松大学に進学。1年で東海北信越選抜に選ばれるなど、将来が期待されていた。

 そんな矢先、病魔に襲われた。3年時の2009年9月、精巣がんと肺や腹部への転移が見つかり、緊急手術。抗がん剤治療では毛髪と眉毛が抜け落ちた。8キロほどやせ「絶望で、サッカーのことは全然考えられなかった」。しかし家族や仲間の支えがあり前を向くことができた。

 約半年後の10年3月に退院。当初は「歩くだけで息があがった」と振り返るが、懸命のリハビリのかいあって、11年に大学サッカー部へ復帰。夏の総理大臣杯で全国3位に輝いた。

■司令塔として評価され金沢加入■

 司令塔としての活躍が評価され、12年に当時JFL(アマチュア最高峰リーグ)だった金沢に加入。1、2年目はほとんどの試合に出場した。14年はJ3(プロリーグ)に参入。両足の中足骨骨折などの影響でシーズンを丸々棒に振ったが、チームはJ2初昇格を決めた。

 15年からはJ2で戦い、3月の東京V戦でJリーグデビュー。7月の愛媛戦でJ初ゴールを挙げるなど31試合に出場。チームは一時首位に立つなど台風の目となった。16年はJ3との入れ替え戦を戦うなど苦しいシーズンとなり、16試合の出場にとどまった。

 17年はチーム最古参となり、練習で誰よりも声を出すなどチームを盛り上げ、19試合に出場。リーグ戦最終節の11月19日、試合前に優平選手の引退が発表された。

■有終の美飾る決勝弾■

 最終節はホームで水戸と対戦。171センチ、右利きの優平選手が、現役最後の試合で見せた。13試合ぶりの先発起用に応え、1−1の後半15分、こぼれ球を押し込み決勝ゴール。「『持っている』タイプではないが、良い時に決められた」と自らの引退に花を添えた。試合後には引退セレモニーも開かれた。
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 優平選手は「金沢でとても幸せな時間を過ごすことができました。これも多くの方の支えがあったからだと思います」と感謝する。「なかなか活躍はできませんでしたが、全力でやり切ったので後悔はありません」とすがすがしい表情。今後は未定だが、指導者の道など「サッカーに携わりたい」という。

■後輩や同級生ら活躍たたえる■

 毎年、正月の初蹴りで交流してきた修斉サッカーの中川崚君(修斉小6年)は「優平選手は、すごく優しくて、僕たち修斉の憧れです。優平選手のように夢を追いかけて、真面目に努力すれば夢はかなうかもしれないので、僕もいっぱい努力して頑張りたい」と気合を入れる。

 小・中学校とチームメイトだった同級生の市之瀬慎吾さん(29)=かしの木台=は「優平は練習時間が終わっても、自分が勝つまで辞めないほどの大の負けず嫌い。そんな彼が大きな病を乗り越えて夢だったプロとして活躍してる姿は、同級生として誇らしかったし、励みになりました。優平、お疲れさま。そしてありがとう」とねぎらう。

 母・順子さん(56)は「今まで優平に関わって下さった方々に感謝とお礼を伝えたいです。今まで応援して頂いて本当にありがとうございました」と話し、「これからも人との関わりを大切にして頑張ってほしい」とエールを送る。


写真上=最終節の水戸戦で決勝弾を決め喜ぶ大槻優平選手(ツエーゲン金沢提供)
写真下=優平選手の引退セレモニーが開かれた(ツエーゲン金沢提供)

    

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