寒さが最も厳しいとされる二十四節気のひとつ「大寒」の20日、京都府福知山市の最低気温は氷点下2度(午前0時33分)で、平年より1・3度低かった。大江町二俣の田中製紙工業所では、厳寒期に紙を漉(す)く「寒漉き」が始まっている。
江戸時代から、丹後二俣紙の製造を続けている田中製紙では、年間を通じて紙漉きをしているが、低温の時期だと、作業の際に雑菌が繁殖しにくく、コウゾの繊維を分散させる役目があるトロロアオイ(植物)の粘液の粘りが長持ちし、良質な紙ができるとされる。
紙を漉くのは田中製紙5代目の田中敏弘さん(55)。寒漉き作業は年が明けてから最盛期を迎えている。
冷たい井戸水を張った漉きぶね(水槽)の中に、コウゾの繊維を溶かした液とトロロアオイの粘液を入れて、台にすだれを乗せた道具、簾桁(すげた)に液を流し入れて漉く。
作業場の温度は6、7度。かじかむ手を湯につけながら、厚さが均等で強い質の紙になるよう、簾桁を前後、左右に動かす。
現在、封筒、ポチ袋などの工芸品に使う和紙を漉いている。田中さんは「年末から年明けにかけて暖かい日が続いていましたが、このところ冷え込んできて、作業に適した気候となっています」と話している。
寒漉き作業は3月上旬まで続く。
写真=簾桁をリズミカルに動かし、和紙を漉く田中さん(20日午前9時20分ごろ)
[PR]
株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232
著作権
このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。