福知山市夜久野町の金尾自治会(湯口修自治会長)は、地元の共同作業場近くにある樹齢約70年のサクラの古木に、わらで編んだ大小の草履などをつなげた「つくりもの」を下げている。8日に催した伝統行事の「コト(事)」で手作りしたもので、自治会全15世帯の今年の厄除けの願いを込めている。
コトは、年始めを祝うために戦前から続けている民俗行事。かつては町内の多くの自治会で行われていた。同自治会では40年ほど前までは、結婚、出産、新築など祝い事があった家に「つくりもの」を下げていたが、今では全体で取り組んでいる。
コトは地元公民館で催した。現在、自治会の住民29人のなかで最年少は50代だが、この日は都会に移り住んでいる出身者らもUターンし、子どもたちを含む42人が集まった。
つくりものは、製作手法を受け継いでいる70代から80代の6人が担当。魔よけの力があるというハゼノキを使った小さなキネとウス、箸を組み合わせた宝舟、大きな足中草履(半分だけの草履)、小さな草履を分担して作り、ビニールのひもでつないで約2時間で完成させた。関心を持つ小学生も手伝った。
他の男性参加者は、持ち寄ったもち米で今年の豊作を祈ってキネとウスを使って餅をつき、女性参加者はかやくご飯を作った。昼食で両方を味わい、交流を深めた。
同自治会にとって、コトは夏の納涼祭とともに活気が戻る場。湯口自治会長は「つくりものの近くには、畑地域の7自治会でつくる七つの里づくり協議会が、コト行事と記した看板を設置しています。製作技術を後世に伝え、地域の民俗行事として守っていきたい」と話していた。
写真=サクラの古木に下げられたつくりもの
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