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両丹日日新聞2014年9月 9日のニュース

検証・福知山豪雨(下):かつてない浸水家屋数

0908kensyo.jpg 福知山市を襲った8月の豪雨災害。市がまとめた被害状況(8月30日現在)によると、浸水家屋は2507棟(床上1183棟、床下1324棟)で、近年の水害被害の中では突出している。由良川の福知山観測所で過去最大水位8・30メートルを記録し、流域の広範囲に被害をもたらした昨年9月の台風18号でも、浸水家屋数は1090棟だった。

 8月豪雨で浸水した和久市町、土師などの一部で、昨秋との重複被災地があるが、床下浸水だったところが床上浸水になって被害は拡大。昭和町、厚中町、内記、堀口など他の住宅密集地にも広く及んだ。

 街の中心部が被災したことで、商工関係の打撃が大きくなった。市は浸水被害を受けた事業所は約1千に上ると推計する。データの算出方法が異なり単純な比較はできないが、台風18号時の95件(同一事業所内で被害3棟の場合は1件で計上)を、はるかに上回る。

 福知山商工会議所は、浸水区域内にある577事業所の会員企業を対象に被害調査を進めており、1日現在で約半数の状況を把握。現時点で被害総額は少なくとも17億円を超えると試算する。まだ再開のめどが立たない店、廃業に追い込まれた店も出ている。

■被害分析と対策へ国、府、市で協議会■

 内水を含む由良川流域の総合的な治水対策が必要になっている。そこで、本流の由良川、支流の弘法川、法川などの河川と下水道をそれぞれ管理する国、府、市の3者で総合的な対策を講じるための協議会が8月29日に設置された。

 構成員は、国交省近畿地方整備局建政部長、同局河川部長、福知山河川国道事務所長、府文化環境部長、府建設交通部長、府中丹西土木事務所長、福知山市副市長の7人。実務担当職員らでつくる幹事会もあり、被害データ分析、原因調査に取り組む。

 設置初日には、氾濫した弘法川、浸水と落雷の影響で停止したポンプ場などの被災地を視察してから、篠尾新町の府福知山総合庁舎で会合を行った。

 黒川純一良・近畿整備局河川部長は「河川が設計通りの雨量に耐えられたのか、排水機能はちゃんと発揮できていたのか。ボトルネック(最大の原因箇所)はどこなのかを突き止めて、効果的な対策を講じたい」と話した。

 対策の方向性については、排水するポンプの整備▽ポンプに至るまでの中小河川の改修▽排水を受けることができる由良川本流の改修−と、流域全体のバランスを保つ必要性を強調した。

■抜本対策望む声切実■

 行政は、台風シーズンを前に、河川に堆積する土砂、側溝に詰まった泥の撤去などの応急対応を進めているが、内水の抜本対策を望む被災市民の声は切実だ。

 内記四丁目の男性(73)は「また浸水するんじゃないかと思うと家を直せないという話を聞く。何があったのかわからない。真実を知りたい」。厚中問屋町に40年近く住む男性(71)は「由良川の水位が低いのに、街中がつくなんて、これまでなかった。原因究明と対策をやってほしい」と訴える。

 5日にも大雨で水位が増えた弘法川を心配そうに見つめる市民の姿があった。

 予算が無尽蔵にあるわけではない。下流部が受けきれないほどの水を流すこともできない。難しい局面の中で、内水問題を含めた治水対策は喫緊の課題といえる。


写真=台風シーズンを控えて8月豪雨災害で弘法川に堆積した土砂の撤去作業が進む(9月2日写す)

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 ・福知山豪雨関係ニュース一覧

 ・検証・福知山豪雨(上):排水能力超えた市街地の雨

 ・検証・福知山豪雨(中):弘法川流域に大量の泥

 ・検証・福知山豪雨(下):かつてない浸水家屋数

    

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