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両丹日日新聞2014年8月 8日のニュース

花火大会事故1年(下):自粛空気に沈む地域

0808hanabisita.jpg 福知山市の旧市街地商店街では今、再活性化に向け、さまざまな取り組みが進む。花火大会事故現場近くの広小路通りでは、門前町風への街並みへと再生が進む最中だった。

 花火会場近くの広小路通りでカメラ店を営む男性は事故当時、店ビルの屋上にいた。一帯を埋める観客をかきわけるように緊急車両が次々に駆け付ける光景に「えらいことになった」と、体が震える思いだった。

 さらに約1カ月後には台風18号の水害があり、昨夏以降に中止・縮小された大イベントは15以上。「書き入れ時のイベント中止で、売り上げが半減した店もある。空洞化が進む商店街の厳しい経営環境に、追い打ちをかけられた感じだ」と、いまも表情はさえない。

 今後の活性化策として、イベント時に地元運営の屋台を並べ、地元にお金が落ちる仕組みづくりを提案する。

■相次いだ催事中止■

 花火事故の10日後、「やくの高原まつり」が計画されていた。実行委員会事務局の女性は、中止を決めるまで一日中悩んだ。「楽しみに待っている人もいるし、まちを元気づけるため開くべきとの意見もあった。でも、実行委の協議で、被害者の心情や安全面を考えると催行は無理という結論になった」と説明する。

 今年は開催するが、「花火事故を風化させてはならない。まつりを通じて安全意識を向上させていきたい」という。

■来年の花火大会は白紙■

 今夏の花火大会は見送られたが、被害者の会副会長の一人は「事故が原因で、花火大会を含むイベントが中止されれば地方が疲弊する」と危惧。「花火大会再開のためにも、一刻も早く安全管理体制、事故再発防止対策を考えて、説明会を開き、市民の理解を得る必要がある」と強調する。

 福知山商議所の梶村誠悟常務は「来年の花火大会開催は白紙の状態。再開を望む声も少なくないが、組織の充実、安全対策の改善、ガードマンの増強など課題が多い」と打ち明ける。

■火気を使う屋台など、条例で届け出義務化■

 事故時に主催者ら関係者が、出店屋台に防火指導をしていなかったことが指摘されているが、これを受けて、市火災予防条例が一部改正された。

 改正条例では、多くの人が集まるイベントで火気を使う場合、屋台などの出店者に、消火器の準備や消防機関への届け出を義務化した。

 市消防本部では、屋外でのイベント主催者らを対象にした防火安全講習会を今年から始め、4月から6月までの4回で、自治会関係者らを含み計248人が受講した。秋祭りに向けて9月に5回目を計画している。

 福知山消防署予防課は「受講者を増やして屋外イベントでの事故防止を徹底したい。防火指導にも出向き、要望があれば事前に消火器取り扱いの訓練もする」という。

 市の人口を上回る観客が訪れる花火大会は、福知山の夏を代表する伝統行事で、これを楽しみに帰省していた人が多い。再開を望む声もあるが、そのためには、事故を教訓に安全管理を徹底し、二度と悲劇を繰り返さない態勢づくりが求められる。


写真=事故以降、屋台の防火指導を徹底している市消防本部(今年2月撮影)

    

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