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両丹日日新聞2013年12月25日のニュース

畿内と日本海結ぶ拠点 近畿最大円墳の王を探る

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 「但馬の王」の墳墓、茶すり山古墳(朝来市和田山町筒江)から出土した品々が、今年6月に一括して国重要文化財に指定された。これを記念した講演会が、朝来市の和田山ジュピターホールで15日にあり、出土した武具から見える中央政権と地方有力者との関係性などが説き起こされた。併せて、近くの施設では一斉資料公開が、いま行われている。

■朝来市茶すり山古墳出土品重文指定記念講演会■
 
 もともと茶すり山は地元で山城跡と認識され、北近畿豊岡自動車道の建設予定地にあったことから1992年に試掘調査が行われた。この時、城跡の遺構だけでなく、たくさんの埴輪が見つかり、古墳があることが分かった。
 
 その後、2001年から02年にかけて兵庫県教委が本格的な調査を行うと、高さ18メートル、直径90メートルにも及ぶ近畿地方最大の円墳で、しかも未盗掘だったことが明らかになった。大量の副葬品が、配置もよく分かる状態で発掘でき、一気に古代史の全国注目スポットに。自動車道のルートを変更して古墳を守ることになり、文化庁から2004年に史跡指定、今年6月には出土品が重文指定を受けた。
 
 講演会の講師を務めたのは、この重文指定にあたっての調査を文化庁在職時に担当した、現奈良大学文学部准教授の豊島直博さん。鉄製武器研究の第一人者でもあり、発掘調査中から何度も現地へ足を運んでいる。
 
 講演テーマは「茶すり山古墳の武器・武具と古墳時代の軍隊」。まず、出土品の特色となっている2組の甲冑の説明から始めた。
 
 古墳頂上部には2つの木棺(主体部)があり、このうち第1主体部から鉄製の甲冑が2組出てきた。1つは、小さな鉄板を革ひもでつなぎ合わせる5世紀前半の技法で作られ、もう1つは鉄の鋲でとめる5世紀後半の技法で作られていることから、両方の時期にまたがる5世紀中頃の古墳だと分かると説明した。
 
 また第1主体部だけで49点の刀剣、矛34点、矢389点など大量の武器があることに注目。これらは形状や、刀剣の握り(グリップ)部分に残っていた糸の特殊な作りから判断し、畿内で生産して各地へ配布されたものだと分かり、被葬者が中央政権と深くつながっていたこともうかがえるという。
 
 こうしたことから、被葬者は、大きな古墳を造る、相当大きな動員力、実力を持つ有力者で、政権中央との結びつきも強く優遇された人物だとし、「当時の政権が朝鮮半島出兵のために、畿内から日本海側へ軍隊を通すルートを確保しておきたかった状況を物語っている」と解説。
 
古墳は畿内周縁の政治と軍事の実体を示す重要な資料だとした上で、貴重な古墳の存在を多くの人に知ってもらうため「人気の竹田城跡から茶すり山がよく見えることでもあり、人をうまく誘導できるように」と提言した。

■古代あさご館で出土品一斉公開■
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 古墳近くの市埋蔵文化財センター古代あさご館(山東町大月、道の駅但馬のまほろば)では、来年1月19日まで重文指定記念特別陳列「茶すり山王見参−史跡・茶すり山古墳出土資料一斉公開」が行われている。出土品の現物や、当時の姿が分かりやすいように復元した物を展示。被葬者の権力の大きさがうかがえる甲冑も見ることができる。

 入館無料。開館時間は午前9時から午後5時までで、月曜休館(祝日の場合翌日)。年末年始(28日から1月4日まで)も休む。


写真上=出土した刀の形状や巻いてあった糸について説明する豊島さん
写真下=「茶すり山王」の甲冑

    

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