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両丹日日新聞2013年11月20日のニュース

台風18号災禍:バランスのとれた堤防整備を

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 「ゴーゴーという大きな音をたてて由良川からの水が押し寄せていた。その勢いはすごく、足がすくむ思いがした」。福知山市戸田の前自治会長、杉山元明さん(67)は16日午前5時ごろ、興で堤防が未完成の部分から濁流が戸田など西中筋地区周辺に入っていたのを確認した。

 水が増えだした15日午後8時から、もう一人の住民と一緒に堤防にある由良川と農業用水の樋門の管理に来ていた。由良川の水位は見るみるうちに増え、管理の交代時間がきた4時間後には、すでに堤防下の道は水につかっており、自宅に戻れなくなっていた。

 戸田、興周辺の由良川沿いでは、国交省福知山河川国道事務所が連続堤防の建設を進めている。濁流が押し寄せていた場所は戸田の上流、興の西中筋ライスセンター近くで、ここは約200メートルにわたって堤防が建設中で未完成。洪水で入ってきた水はすぐに戸田地区に押し寄せ、周辺に広がったとみられる。

 今回の水害で、地区内の家屋96戸のうち88戸が床上浸水、8戸が床下浸水。被害は全域に及んだ。福山義朗自治会長(65)は「堤防が出来るという前提のもと、6年ほど前に民家を集団移転したが、早く完成させてもらわなければ安心して暮らすことが出来ない。命にかかわる問題だ」と話す。杉山さんも今回の水害は「自然災害ではなく人災だ」と憤る。

 興の未完成部分について、国交省福知山は、対岸の福知山、綾部両市の私市地区で堤防が未整備のため、興での築堤を進行させて堤防が完成すると、洪水が起きた時、私市周辺にその水が全て流れ込み甚大な被害が出てしまうことから、整備がストップした状態という。

 国交省福知山の竹中一滋副所長は「右岸の私市地区とバランスをとりながら、築堤工事は早急に進めていかなければならないと思っている」と話す。

 国交省福知山では、由良川下流域の大江町でも緊急水防災対策事業として、築堤整備を進めている。04年の台風23号で床上浸水した家屋が多かった右岸側の南有路地区では、集落を堤防で囲む輪中堤が完成したため、今回の水害で浸水をまぬがれた家屋もある。一方で左岸側の地域では、堤防がある程度出来上がってしまっているため、すぐに由良川へ引いていくはずの水が堤防に阻まれ、長い時間水につかった状態になったとみる住民もいる。

 川合茂・舞鶴高専名誉教授(65)は「バランスのとれた整備が必要だが、堤防が完成するまでに、また水害が起きることも予想される。ハード面の対策だけでは追いつかない。情報伝達や避難の仕方など、ソフト面の対策も十分に考えていかなければならない」と話す。


写真=興の堤防未完成部分で、濁流が押し寄せた様子を振り返る杉山さん

    

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