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両丹日日新聞2012年3月10日のニュース

あすへの教訓(了)被災者と共に立ち上がる

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 津波被害から1年がたった、今も原野のような古里。宮城県石巻市内の仮設住宅で暮らす漁師の三浦政浩さん(48)は「復興は遠い」と光景に目をやり、漏らした。あまりにも多くのものを失った。だが、震災後に生まれた、人とのつながりで、再起への気持ちは折れない。復興への光を求めて−。

 記者に被災地を案内してくれた三浦さんにとって、あっという間の1年だった。先が見えない不安に押しつぶされそうで、市外への避難も考えた。それでも現地に残ったのは「みんなと一緒にここにいたい」と言った中学3年生の娘の一言。「子どもに言われたらしょうがないよね」
 
 漁業の核になるホヤ養殖の水揚げが出来るのは、最短で2年後。原発事故の海水汚染の影響や風評被害も気がかりだ。食いつなぐために大型トラック運転手をやり、親戚の漁を手伝う。「食って子どもを育てるのが精いっぱい」。現実は厳しい。だけど、へこんではいられない。
 
 「俺たちの代で(復旧は)全部できない」と言い切る。諦めの言葉じゃない。
 
 ある講演会で、地域活性化には「若者」「よそ者」「バカ者」が必要と聴いた。復興も同じだと共感。仕事にならなくても、今出来ることは何でもやる「バカ者になる」と誓った。
 
■牡鹿中学校で復興へのドラマ■
 
 子どもたちが大きくなったときにどんな思いで復興に取り組むのか。その礎になれればいい。2人の子どもが通う牡鹿中学校のPTA会長を務める。全国からの支援のお礼がしたいという生徒たちのために、よさこいソーランを披露する場を探して走りまわった。
 
 ようやく見つかった会場が、3年生の修学旅行で立ち寄った東京代々木公園。子どもたちは感謝の気持ちを伝えて、精いっぱい踊った。
 
 この公演をきっかけに、ジャズシンガーの奥土居美可さんが、復興への願いを込めた歌「君が笑ってる、みんな笑ってる!!」を作り、昨年10月の牡鹿中文化祭で歌ってくれた。
 
 「歌いたい」と子どもたちが望み、CD化計画が始動。全校生徒68人がコーラスで参加したCDジャケットの表紙には、中学生たちの笑顔。「ドラマみたいな出来事だった。うれしかったなあ」

■助けてくれるみんなに「ありがとう」■
 
 ボランティアや支援者ら、外からの助けの力はすごい。三浦さんは常駐ボランティアたちを牡鹿中体育祭に招待した。「運動靴が無くてリレーを長靴で走ったね」と三浦さんとボランティアが顔を見合わせる。一緒に写った記念写真は宝物であり、復興への気持ちを支えてくれる。
 
 高校時代の同級生の突然の来訪。多くのボランティアが漁業再開へと手伝ってくれた。通学バス廃止で高校生が困っていたところへ、寄宿先にと名乗り出てくれた人がいた。励ましの言葉をもらった。「手を差し伸べてくれた人全員に『ありがとう』と言いたい」と目が潤んだ。
 
 震災は多くのものを奪った。津波に全てをさらわれながらも古里で生きる人、原発事故で今も古里に帰れない人もいる。本当の苦しみは当事者にしか分からないかもしれない。しかし、支え合い、手を取り合えるはず。
 
 仮設住宅で話し込んだ時に、「早く復興しないとね」と、三浦さんの声が弾んだ。どこか違う場所で人手がいるときに「今度は俺が行く番だから」。被災地は立ち上がる。
 
 東日本大震災発生から、あすで1年を迎える。
 (足立秀高記者)
 
 
写真=牡鹿中の生徒がコーラス参加したCD(右)と、体育祭での常駐ボランティアたちとの記念写真。どちらも復興への原動力(2月28日、石巻市内の仮設住宅で写す)
 
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