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両丹日日新聞2012年3月10日のニュース

あすへの教訓(6)災害弱者は守れるか 不十分な態勢の整備が急務

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 地震、風水害などの災害が起これば「(助かるのを)あきらめるしかない」−。車いすで生活する福知山市内のある障害者は真顔で答える。別の障害者も「通常の避難所ではとてもじゃないが生活できない。避難せず自宅にいる」と言う。いざというとき、高齢者らを含めた災害弱者を守れるか。

 彼らが割り切るのには、理由がある。「災害時、車いすに乗った人間を運ぶのに人手を割けるのか」。そして、避難所の問題。
 
 体の同じ部分に長時間の圧迫がかかり、血の巡りが悪くなるなどして皮膚組織が壊死する「褥瘡」。例えば足が機能していなくて痛みを感じない人、痛みを伝えられない人、寝たきりの人や車いす利用者らに多く見られる。
 
 「おそらくみんな、普段は褥瘡予防に対応したエアベッドなどを使って寝ている。避難所で毛布1枚渡されて床の上では寝ることができない。ぜいたくに思われるけど、長期間暮らすとなると、そういったベッドがないと」と説明してくれた。身障者用トイレや段差の有無の心配も、もちろんある。
 
 「他の人に迷惑をかけるぐらいなら…」
 
■高齢者、障害者らのための福祉避難所■
 
 災害時、危険を感じた住民が身を寄せる一般避難所がある。これとは別に、通常の避難所では生活が難しい高齢者、障害者、妊産婦、病弱者などの避難先となるのが福祉避難所。国が設置を呼びかけていて、東日本大震災を契機に注目を集める。
 
 厚生労働省のガイドラインでは、都道府県、市区町村は施設管理者と連携し、福祉避難所として機能するよう必要な施設整備を行うこととしていて、段差の解消やスロープなどの整備面、介護用品、洋式ポータブルトイレ、収尿器などの備蓄を求める。
 
 福知山市は2006年10月、福知山民間社会福祉施設連絡協議会と協定を締結。特別養護老人ホームや障害者支援施設など24施設を福祉避難所として確保する。
 
 しかし、市は「福祉避難所は二次避難所としての位置付け。これまで福祉避難所の開設は締結以降、一度もない。施設側との調整もできていない」のが現状だが、「災害時に備え、人員配置や設備、備蓄などマニュアルを作っていく必要がある」と話す。
 
 避難については、市が作成している個別避難支援計画書に体の不自由な人ら1023人(2月17日現在)が登録。いざというときは地域の人たちが安否確認や避難の支援をするようになっている。
 
■避難所での生活あきらめた車いす利用者■
 
 車いすで生活する岩手県北東部、洋野町の大井さん(63)は、東日本大震災で、シャッターが閉まるなどして、自宅に閉じ込められた。家は海岸近くで、水門を閉鎖しにきた消防団員3、4人の協力を得て屋外に出してもらい避難した。
 
 ところが、避難場所の武道館は段差があったり、障害者用トイレもなく、避難所での生活をあきらめ、車内で過ごすことになった。
 
 東日本大震災では高齢者や障害者らも多く犠牲になったと伝えられている。災害弱者を守る態勢が急務となっている。
(松本孝樹記者)
 
 
写真=健常者にも災害弱者にとっても安心安全なまちづくりが必要だ
 
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