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両丹日日新聞2011年1月 2日のニュース

産育の歴史や命の尊さ後世に(下) 江戸から昭和までの60点

0101honyuubin.jpg■明治の学制改革前の産科の必読書も■
 書籍の中には貴重なものがたくさんある。「産翼論」は、安永4年(1775)に産科医、賀川玄迪が刊行した。玄迪は、独自に開発した手術法で胎児を取り出し、難産の母体を救った賀川玄悦に師事。この本は、日本近代産科学の基礎を築いたといわれる教えをもとにしたもので、明治の学制改革以前の産科の必読書だった。

 玄迪を恩師とする産科医、佐々井茂庵が安永6年に発刊した「産家やしなひ草」は、産前、臨産、産後の心得計35カ条を、妊婦が読みやすいように仮名をふり、親しまれた。
 
 嘉永3年(1850)に産科医、水原三折が著した「産育全書」は、当時で最高レベルの産科専門書といわれる。妊娠の診断、出産法、投薬などを幅広く記しており、全12冊のうち11冊がそろっている。
 
 小児科医の桑田立斎が嘉永6年に刊行した「愛育茶談」は、「小児養育の真理を万人が理解するためであり、近年は牛痘が行われて大厄を免れるようになったものの、親の子育ての間違いから種々の病気になったり、早死にするのは嘆かわしいことだ。だから、本書を熟知して目先の愛(姑息の愛)に溺れたり、子孫を害するようなことがあってはならない」と戒めている。
 
■出産にちなんだ華麗な錦絵も多数■
 
 錦絵は色彩豊かで今でも色あせていない。豊原國周が描いた「赤子に乳をやる図」や歌重が明治13年(1880)に描いた「子の出来るはなし」、大田節次が明治24年に出した「貴嬢愛育の図 ミルク入れと子供」などを所蔵する。
 
 器具は、華やかな箱に入ったガラス製の「桃太郎印衛生哺乳器」や真っ黒なラッパ状の「聴診器」などがある。
 日本教育紙芝居協会が厚生省(当時)の後援を受けて昭和16年(1941)に作った紙芝居「赤ちゃん」もある。国策「産めよ増やせよ」に基づいて製作されたもので、乳児の成長に必要な栄養素などを教える内容になっている。
 
 安産祈願などで参拝するだけでなく、大阪市立助産院学院の生徒ら、学習の一環として神社や産屋の見学に訪れる人も多い。このとき、林宮司は史料の一部を生徒たちに公開し、産育について紹介している。
 
■産育テーマにした史料館の建設が夢■
 
 大原は、「美しき命の源流うぶやの里・大原」として昨年8月、地域固有の歴史や文化に裏打ちされた景観を地域で共有し、地域の活動を活発にしていくための府景観資産に登録された。
 
 林宮司は、史料を眠らせておくのではなく、産屋とともに産育習俗や観光資源として役立てたいとの思いが強い。
 
 「今は神社に収蔵していますが、参拝された方々に、昔のお産や命の尊さを考えていただくために、集めた史料を常設展示できる場所をつくれればうれしい。場所が確保されたら、すべて寄贈します。今後も収集を続けますので、もし、家庭に昔のゆりかごなどが残っていれば、ぜひ連絡してください」と協力を呼びかけている。
 
 
写真=明治時代に使われたガラス製の哺乳器

    

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