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両丹日日新聞2011年1月 1日のニュース

一彫入魂(下) 木の中から面を取り出す

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 入門して最初に習うのは若い女性をイメージした、かわいらしい表情の小面。素材には木地が白く柔らかいため加工しやすいブロック状の木曽ヒノキを使う。

後藤氏が伝統の技を受け継いで手がけた小面の型紙通りに下絵を描き、木槌でノミを打ち続けて表裏の粗彫りをする。
 
型紙と寸分たがわぬ形や厚みになるように努め、彫刻刀で彫り進め、木地の仕上げをする。
 
 「小面は能面のなかでも作るのが簡単そうに見えますが、プロになっても一番難しい面とも言われます。ほおの膨らみや目尻の角度といった部分はとくに神経をつかいます。実際、飾ってみると光や影、そして眺める角度によって表情が全く違ってきます」
 
 サンドペーパーできれいに磨き上げ、朱色を主とした顔彩で彩色する作業を繰り返し、髪や口の部分に墨や朱を入れ、ひもを取り付けて完成させる。半年かかった。

 能面は華麗なものから繊細なものまで多彩。今までに約70種類の型紙をそろえた。
 
 女面は、小面より少し年上の「若女」や中年女性の「深井」、老女の「姥」や「痩女」、嫉妬の度が極めて強く鬼のような形相になった「般若」など。
 
 男面は、少年の童子、老人の白式尉、目をむきカッと口を開いた「小飛出」、口を大きく開き、きばをむき出した「獅子口」など。
 
 振り返ってみると「面打ちの技は、ほとんど口では教えてもらえなかった。見よう見まねで覚えました。完成したときのイメージを膨らませて木の中から面を取り出す魅力は何物にも代えがたいものです」。
 
 今も型紙を利用するが、勘を頼りに打つことができるようになってきた。しかし、いくら作っても納得できる作品はできない。
 
 「繊細な形や色遣いにひかれます。イメージ通りのものを完成させる楽しさはもちろんですが、奥が深く、微妙な味わいがあります」と語る。
 
 習い始めたころ、半年がかりでやっとできた小面を、そのあとも4、5面作り、基本的な技術を身につけた。今でも、一つ完成させるのに、かかりきりで3カ月はいる。それでもやめようとは思わない。
 
 「各地の能面作品展に出かけ、ハッとさせられる素晴らしい面に出あうことがあります。一彫入魂。結婚する親族に翁の面を贈ったことはありますが、売ることは考えていません。体の続く限り続け、技を究めたい」
 
 
写真=工房にこもり、木曽のヒノキを使って面打ちを続ける北山さん
 
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 ・一彫入魂(上) 面打ち30年、田野の北山弘行さん

    

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