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両丹日日新聞2011年1月 1日のニュース

一彫入魂(上) 面打ち30年、田野の北山弘行さん

0101nou.jpg 福知山市田野の北山弘行さん(66)方を訪ねると、玄関の壁の一面に、男面、女面など手作りの能面が並ぶ。柔和な表情、厳しい形相などさまざま。喜怒哀楽がそれぞれに込められており、一つ一つに視線を移すと、心を見透かされているような錯覚に陥る。面を打ち続けて約30年。道具は年々増えてノミ、彫刻刀など約100種類に及ぶ。「まだまだ修行が足りません。技を究めて自身が満足できる作品を仕上げるのが目標です」

 北山さんはJR(旧国鉄)に30年間勤めて1993年に退職した。その後、しばらく中六人部の自主運行バスの運転手を務めて、現在は農業をしている。
 
 自宅敷地内にある工房は、2トン積みの保冷車のコンテナ内に板張りをしたもので、3畳ほどのスペース。「コンコン」と木槌でノミをたたく手を休めることなく語り始めた。
 
 「もともと能面に関心はありませんでした。趣味はもっぱら盆栽。20歳のころ、福知山盆栽愛好会に入り、一時は400鉢が自宅の敷地を陣取りました。植え替えや運ぶのは大変ですし、足腰が弱ると家族に迷惑をかけます。今は枝ぶりが良く気に入ったクロマツ5鉢に絞って世話をしています」
 
 面打ちを始めたのは81年ごろ。両丹日日新聞に「能面教室」の参加者を募る記事が出た。「物作りが好きで、盆栽に代わる趣味がないかと思案していたところ、これだと思いました」
 
 通い始めたのは、かつてあった福知山能面研究会が、京都ルネス病院(旧冨士原病院)の会議室で開いていた教室。故・冨士原正保さんら5、6人が加入。3年後には、現在、金沢大、金沢美術工芸大の非常勤講師も務める能面師、後藤祐自氏=石川県金沢市在住=から月2回教わった。90年には、初の作品展を開いた。
 
 一時は会員が10人ほどに増えたが、高齢化や退会で会員が減り、教室会場を石鍋歯科医院の離れに移し、熟練者の故・石鍋史郎氏に指導を受けたが、会は自然消滅した。今は趣味として、ブドウなどの栽培とともに楽しんでいる。
 
 「能面を打つのは、言い方が悪いかもしれませんが、優れた作品を写すこと、技を盗むことから始まります」
 
 
写真=北山さん方の玄関に並ぶ多彩な面。眺めると心を見透かされているような気持ちになる
 
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