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両丹日日新聞2010年8月 1日のニュース

鉄鋼からコンクリートへ 余部橋梁架け替え着々

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 鉄道ファンやカメラ愛好家、観光客ら多くの人に親しまれてきた、JR山陰線に架かる余部鉄橋。兵庫県香美町香住区余部にあるこの鉄橋はいま、鉄鋼製からコンクリート製に造り替える工事が進められており、工事の進捗率はすでに90%を超えた。福知山工事所(金子雅所長)の管轄で工事が行われ、8月12日からは新橋梁での運行が開始される予定。工事が進む現場を訪ねた。

 旧余部鉄橋は1912年1月に架けられ、今年で“98歳”だった。骨組みで橋脚をつくり上に橋桁を乗せるトレッスル橋の工法で、全長310メートル、高さ41メートル。11基の橋脚を持ち、鋼材を組み合わせたトレッスル橋としては国内最長の規模だった。
 
 しかし、海に近いため強風にさらされることが多く、1986年12月には回送中の列車が突風にあおられて7両が橋梁中央付近から落下し、多くの死傷者を出す事故が発生。これに伴い、秒速20メートル以上の風が吹くと香住−浜坂の両駅間で運行を休止する列車運行規則を定めた。
 
 この状況のもとでは、列車の運休は年間約200回にのぼり、定時運行に支障があった。また、鉄橋の腐食対策などのメンテナンスにも多大な労力が必要だった。
 
 このため、1991年から「余部鉄橋対策協議会」で課題を打開する検討を重ね、02年に防風壁を備えた新橋梁に架け替えることを決定。工法などの協議を重ね、07年5月に架け替え工事の起工式を行った。
 
 新しい橋梁は、従来の鉄橋の約7メートル南側に建設し、長さ、高さとも従来とほぼ同じ。下部は橋台2基と橋脚4基で構成しこの上に中が空洞になったコンクリート製の箱桁が乗る。総事業費は約30億円。
 
 工事は、コンクリート製の新しい橋脚を建てて橋桁を乗せ、線路を敷くが、トンネル(東)側93メートルの区間と残りの部分は異なった工法を用いる。
 
 東側は、旧線路と橋脚の一部を撤去したあと、南側に造った3800トンの橋桁を油圧ジャッキで約4メートル北へ移動。さらに中央を起点に反時計回りに約5度回転させて線路に接続させる。
 
 この工法は国内でも珍しく、JRの中では初の採用だという。旧橋脚の撤去後に新橋脚を建設するよりも列車の運休期間を大幅に短縮できるため、この方法を選択した。残りの餘部駅側は、新設した橋桁に線路を付け替えて接続する。
 
 新橋梁には、両側に高さ1・7メートルの防風壁を設け、運行規則を風速30メートルまで引き上げるよう調整。これにより、運休は従来の40分の1程度に改善される見通し。壁は透明アクリル製にして景観にも配慮する。阪神大震災規模の地震にも耐えられる強度を持つ。
 
 7月16日で旧鉄橋での列車運行を終え、翌日からバスの代替運行をして工事を進行。すでに東側の橋桁の移動や回転も完了して24日から桁の結合工事に取り掛かった。軌道・電気工事などを経て完成させる。
 
 旧鉄橋は近代土木遺産の価値が高いことや鉄橋の雄姿と事故の教訓を残すため、餘部駅側の3本は取り壊さずに保存し、県が「空の駅」の展望台などとして整備する。また、橋桁も研究や観光などに活用していく。
 
 
写真=新しい橋桁が完成し、役割を終えて撤去される旧鉄橋の橋桁

    

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