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両丹日日新聞2009年10月20日のニュース

台風23号から5年:<3>水からは「まず逃げる」

台風23号時に浸水した区域を色分けで示した地図を見る川合教授(左から2人目) 「見るみるうちに水かさが増し、逃げる暇がなかった」。台風23号の水害に遭った人たちから、こういった声をよく聞く。一気に水が押し寄せ、尊い命が犠牲になった。いつもの台風とは違う水の増え方で、多くの人は逃げるのに必死だった。洪水時、安全に逃げるにはどのような行動をとればよいのか。舞鶴工業高等専門学校の工学博士、川合茂・建設システム工学科教授に避難のあり方について聞いた。
 

 23号では福知山市を含む、由良川のほとんどの流域で雨が長く降り続いた。時間雨量にすると、局地的な豪雨といったものではなかったが、流域のいたる所で降り、水かさが増えた。この100年、国内で1年間に降る雨の量は減少しているが、降る時は一度に多くの量になる傾向にある。ゲリラ豪雨と呼ばれる気象現象がこの一つで、こうしたことは温暖化が影響しているといわれている。
 
 未曾有の洪水となった1953年(昭和28年)の「28水(災)」の時は徐々に水が増え、23号時に比べ、まだ逃げる余裕があった。今回は特に28水を経験している人やこれまでの水害の話を聞いてきた人たちは、洪水になっても「まだ大丈夫」という気持ちがあったのかも−と、川合教授は推測する。
 
 水がつきそうになったら「まず逃げる」。市内では学校やコミセン、公民館など約390カ所を避難所として使い、水害や地震災害などの際に身を寄せることができるようにしている。しかし、ゲリラ豪雨などの時は急激に水が増え、避難所に行くには危険な場合がある。
 
 23号では避難所までたどりつけなかった人たちもいる。こうした時に、地域で3階建て以上の家や事業所、石垣を積んで高くしている家を「緊急の避難所」とし、そこに逃げ込むことも選択肢にあげられる。
 
 「避難所まで逃げられない場合、近くの3階建ての家などに逃げるのは有効で、どこにそうした家があるかを知っておくこと、また高齢者や体の不自由な人らを助け出すため、情報を共有することが大切」と川合教授。特に先住者が少ない新興住宅地などでは必要だと説く。
 
 多くの民家が浸水した大江町蓼原では、今年9月に自主防災組織を立ち上げた。自治会長の新治万喜雄さん(55)は「高い場所にある家などに逃げられるような取り決めや、高齢者らを手分けして助け出すということを今後話し合い、マニュアル化していくことが必要です」と話す。
 
 地域の中での取り組みも大事だが、災害時に家族の間でどうするかを日ごろから相談しておくこと。これが一番の基本だと川合教授は力説する。勤務する父親が水害で帰宅出来ない。こうなると、家などで待つ家族は不安感が募るため、電話で安否の確認を取り合うなど、まずは身近なところから考えておく必要があるという。
 
 ソフト面での対策は、家屋浸水などの水害を防ぐ築堤や河川改修などのハード事業を加味した上で考えられることであり、両面での取り組みがうまく機能して、初めて水害に対する態勢が整ったといえる。
 
 水害の場合、突然襲ってくる地震と比べ、まだ避難したり、家財を片付けたりする余裕があるが、油断は禁物。近年の雨の降り方を見ると「これで大丈夫ということは言えない」と川合教授。「逃げるタイミングも大事で、上流の水の増え方、雨の降り方などを考え、下流域の人たちがいつ避難するのがいいか、科学的に分析出来れば…」と考えている。
 
 これまで、どういった水害が起き、どういう風に逃げたか。経験者が言い伝えていく。それを聞いた人は自分のこととしてしっかりと胸に焼き付け、防災の意識を持ち続ける。家族から地域、流域全体へとその思いが広がっていくことが望まれる。
 
 
写真=台風23号時に浸水した区域を色分けで示した地図を見る川合教授(左から2人目)

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