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両丹日日新聞2009年10月20日のニュース

台風23号から5年:<1>04年10月20日夜 そして翌日

1013suigai.jpg 04年10月20日夜、台風23号が福知山を襲った。篠尾新町の両丹日日新聞社内で、わたしたちはほとんど身動きがとれずにいた。多くの人々が大水に逃げ惑い、恐怖におびえていたときも、じりじりとした時間を過ごすばかりだった。翌朝、連絡網の多くが断たれ、取材は難航した。5年前の記憶をたぐってみる。
 

 その日の夕方近くまで、社内にさほどの緊迫感はなかった。女性社員は少し早めの帰宅を許され、一部の人は帰っていった。
 
 笛を鳴らすような音をたて、強風が社屋をゆすっていく。激しい雨で、由良川の水位は急激に上がってきた。暗くなった街に、サイレンが響く。不安が一気に膨らんだ。
 
 テレビは台風関連のニュースを流し続けている。音無瀬橋付近へ行っていた記者が帰ってきた。「堤防から手を伸ばしたら川の水に届きそう。怖くて、とても立っていられません」
 
 避難勧告が出ている。市の広報車が「避難して…」と回ってきたが、雨と風の音でよく聞き取れない。
 
 市街地に家がある記者は、幼い子らが心配でいったん自宅に帰った。しばらくして「ここに居させてください」と、次女を抱き、妻と長女を連れて会社に戻ってきた。サイレンが再び長く鳴り響く。避難指示に変わったようだ。
 
 市民病院の前や問屋町では道路が冠水した。土師では車が立ち往生している。牧あたりでも国道9号が通れないらしい。記者の一人は、ひたすらパソコンに向かい、ホームページで最新情報を発信している。
 
 社内が停電した。暴風雨の中、関西電気保安協会の方が修理にみえた。雨が吹き込んだのが原因だという。短時間で復旧してもらい助かった。
 
 ひと足早く帰宅した市内東部の社員は、途中、車ごと濁流のなかに入ってしまい、命からがら脱出した。無事でなによりだったが、車はもう使いものにならない。
 
 福知山でもこんな状況なのに、下流域はどうなっているんだろう。大江町からの情報はほとんど入ってこなかった。
 
 21日朝、まちは一変していた。大江町役場は水につかり、連絡さえつかない。記者の一人は「行けるところまで」と向かったが、蓼原の向こうはまだ泥の海。そこで写真を撮ることしかできない。
 
 河守に住む女性社員が、携帯電話で連絡してきた。「うちは大丈夫ですが、会社は休ませてください。炊き出しをしています。役場? とても行けません。国道は川のよう」と言って切った。停電で充電できないため、携帯電話の電量は貴重だ。もっと詳しく町の様子を尋ねたかったが、仕方がない。
 
 惨状を伝える写真と原稿がそろい始めたころ、大江町からの悲報が届いた。しかし、詳しいことは分からない。警察でさえ、情報を十分つかめていない。役場は、連絡が取れない状況が続いた。
 
 消防団が懸命に動いている。自衛隊も救援活動に入った。だが、情報収集は難航した。
 
 前の日までに予定していた紙面組みは、ごっそり変わった。いつもの編集作業より、時間の過ぎるのが早い。なんとか間に合わせ、刷り上げた新聞だが、配達できない地域は少なくなかった。
 
 テレビでは、舞鶴市内でバスの屋根に上って一晩過ごした乗客のニュースをしきりに流している。由良川の洪水に、多くの目が向いた。
 
 ところが、次第に、山間部での被害が明らかになってきた。雲原、天座、三岳など各地で大規模な土石流、山崩れが起こっている。人的被害はなかったが、一部の民家や学校、農地、生活道はひどい状態だ。こんご少量の雨でも、新たな災害が発生する恐れがある。
 
 台風関連のニュースを伝える日々は長かった。当初は分からなかったところで、大きな災難に遭っている人がいた。連日ボランティアで頑張っている人たちもいる。情報を集め、記者は現地へ向かい、状況を伝え続けた−−。
 
 …………………
 
 亡くなった方2人、建物全壊59棟、床上浸水755棟、床下浸水731棟、被害総額126億円超。台風23号は福知山に未曾有の大災害をもたらした。
 
 あれから5年が過ぎた。時の経過とともにわたしたちは、大切な記憶と教訓のなかから、何かを失ってしまってはいないか。もう一度振り返り、現状や今後の防災対策などを考えていきたい。
 
 
写真=一夜が明けた10月21日、市内のあちこちで洪水被害が発生していた(土から戸田へ向かう道路)

【台風23号から5年】
 <2>情報把握と伝達
 
 <3>水からは「まず逃げる」
 
 <4>何を持って避難するか

 <5>堤防をつなぐ

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