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両丹日日新聞2009年1月 1日のニュース

百年先のまな板に乗る−文化財を守ることの重み 国重文・島田神社(2)

0101simada03.jpg 改修にあたっては、柱や梁(はり)、板などをできる限り再利用した。福知山市畑中の国重要文化財・島田神社の大改修は、本殿をすべて分解して一点ずつ点検し、腐食したもの、虫食いの穴が空いたものは、補強したり、埋めたり。失われている部材も忠実に再現した。
 

 棟梁(とうりょう)はこの道42年の久保田正昭さん(60)。親類の宮大工に弟子入りして厳しい修業に耐え、独り立ち。これまでに醍醐寺開山堂、南禅寺山門、清水寺三重塔、知恩院集会(しゅえ)堂など貴重な文化財の修繕をいくつも手掛けてきた。
 
 島田神社の大改修は足掛け3年度にわたる事業。福知山に泊まり込みで作業にあたってきた。
 
 文化財の修復は「当時のまま」が鉄則。柱と梁(はり)などの組み物は時代によって技法が違い、その時代、その建物、その部位に施された技法通りに再現する。「こうした方がいいから」と思うことがあっても、新しい技法を加えたりしてはいけない。逆に、手間を省いたりすることも許されない。何も加えず、何も省かず。
 
 分解した部材を昔の技法に忠実に再現したり、手間をかけて補修することは苦にしない棟梁だが、「困るのは、失われてしまっている部材を作ることだねえ」と話す。島田神社では屋根が、そうだった。
 
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 他の神社の例など、文献を基に府教委の福田敏朗さん(57)、小宮睦さん(43)が導き出した曲線に、棟梁が職人としての知識と経験、感性を加えて調整していき、合板の上に実物大の平面図を描き上げた。線を引いては見直しを加え、また引いては検討を加え。大きな屋根にもかかわらず、膨らみを爪の先分厚くするか薄くするかで悩み抜いた作業だった。
 
 「やっと描き上がってからも、心配は残りました」と福田さん。「線を引いたのは平面図。実際に木を切って屋根に乗せるのは立体の話だし、屋根というものは下から見上げるもの。平面図の印象と違ってくるかも知れませんからね。そこを上手に調整してもらえたのは、久保田さんの腕です」
 
■受け継ぐ職人の気概と技■
 
 先人たちと張り合うつもりはない。当時の技術を忠実に−。作業の合間、静かにたばこをくゆらす久保田さんが、先人たちの仕事同様、自分の仕事も後世に残っていく点に話が及ぶと、表情を変えた。「何年も先の職人から、なんじゃい、こんな仕事して、と思われんようにせんなん」。そう言葉に力を込めた後、また笑顔に戻り「まあ、その頃には死んでしもてるから、何を言われてもかまわんようなもんやけどなあ」と、今度は声をたてて笑った。
 
 3人は自分たちの仕事を「百年先のまな板に乗る」とも表現した。
 
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 大改修を終えた島田神社だが、また150年、200年先には大改修が行われる。次の時代の職人や研究者たちも、また棟梁たちの仕事に舌を巻くことだろう。
 
 
写真1=屋根の曲線を描き出すのに苦労したという棟梁。ベニヤ板に線引きを繰り返した
写真2=できる限り元の部材を生かすことにし、傷んでいる部位は補修を加えて使った
写真3=屋根材など今回の改修で取り付けられた部材だということが後年に分かるよう「平成二十年修補」の焼き印が入れられた
 
 

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