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両丹日日新聞2007年1月 4日のニュース

古里の土で梟(ふくろう)を焼く 素朴で温かみのある置物

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福知山市の森方徹さん

 古里・福知山の土にこだわり、その土を使って梟(ふくろう)の置物を焼き続ける人がいる。福知山市堀の森方徹さん(59)。野生鳥獣の生態に詳しい人物として知られるが、焼き物に打ち込んでいることはあまり知られていない。全国の有名な老舗百貨店から依頼を受けて作品展を開くほどで、その作品は素朴で温かみがあってファンも多い。

陶芸家の工房に通い詰め学び 都会の人たちにも人気
 
 森方さんが陶芸を始めたのは49歳のとき。野鳥の調査で京丹波町(当時の瑞穂町)の山中の奥に入り、ふもとに下りてくると、そこに陶芸家の工房があって窯から煙が上っていた。
 
 若いころ芸術の道にあこがれ、美術大学に進学を考えたこともある。親の猛反対であきらめ、名古屋の理工系大学に進んだものの在学中は絵ばかり描いていた。
 
 帰郷後も働きながら木彫りのバードカービングに打ち込み、いつか陶芸もやってみたいとの思いを温めていた。そんな時だった。立ち上る窯の煙がたまたま目に入り、その煙に誘われるように工房を訪ねた。
 
 この工房の主が師匠でもある陶芸家、竹田尋牛(じんぎゅう)氏。持ち続けている自分の気持ちを打ち明けると「私は弟子を取らないが、好きならここでやってみればいい」と勧められた。
 
 封印してきたそれまでの気持ちが解き放たれた。やってみようという熱い思いがこみ上げてきた。それから1年、福知山から工房に通い詰めた。実際に教えを受けることはなかったが、師匠のそばで陶芸を学んだ。
 
 土を練り、轆轤(ろくろ)を回し、先生の作品のすき間に入れて焼かせてもらった。そんな毎日を経て、少しずつ必要な技を身に付けた。
 
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 ずっとこだわり続けるのが、地元福知山の土で焼くこと。全国的に知られる焼き物は、その土地の土から生まれた。福知山で焼き物に適した土を探し、ある山のふもとから出る土に巡り合えた。
 
 制作する際に釉薬(ゆうやく)などは一切使わない。1300度以上の高温で何十時間も焼き上げる。すると火炎の具合や土の性質によって、予期しない色合いに窯変(ようへん)する。時にガラス質の薄いグリーンや赤っぽい色に。まるで釉薬を塗ったような色合いが生み出される。
 
 「窯に入れてしまえば、あとは窯に出来上がりを任せる、委ねるだけ。土と炎が作品を作り上げてくれる。だから色も形も一つひとつすべて違う」という。
 
 梟を作り続けるのにも理由がある。特徴ある姿。遠くにいるネズミの足音を聞き分ける鋭い聴覚。音を立てずに飛ぶこともできる。こうした秀でた能力に魅せられた。
 
 梟は、昔から「福籠」とか苦労知らずの「不苦労」、学問の神様(知恵袋)などと言われ、縁起物として人々に慕われてきた。
 
 これまで東京・日本橋の老舗百貨店をはじめ、関西や関東、さらには仙台、広島、鹿児島などにある大手百貨店から作品展の依頼を受けよく出かけている。月の大半を留守にすることもある。
 
 展示会場には必ず「京丹波 梟(ふくろう)の里」の看板を掲げる。様々な体形や表情の作品がずらりと並び、その素朴な風合いと愛敬ある表情が人気を集めている。訪れる人たちからは「見ているだけで心が和む」と言われる。
 
 「もし、気に入ったものがあれば買ってもらえればいい。一つひとつ丹精込めて作り上げたもので、本当は手元に置いておきたいという思いが強い」と打ち明ける。
 
 昨秋、京都の百貨店から今年の干支(えと)・イノシシの置物を焼いてほしいと頼まれた。何点か作ってその中から気に入った数個を届けたが、こうしたことは珍しい。
 
 「梟以外のものを作ることは、あまりないですね。小さい梟の作品だけでは会場が寂しいから大皿を焼いたりもしますが、ほとんど梟ですね」
 
 制作作業は、真夜中から早朝にかけて。昼間は人が訪ねてきたりするので、どうしても気持ちが落ち着く深夜になる。高さ数cmから大きなものまでいろいろ。手と小道具を巧みに使い分け、梟の体形や真ん丸い目、くちばしなど、愛敬ある表情を作り出していく。
 
 「納得いく作品が出来上がるのは、一生に一度あるかないか。たくさん焼いた中で、まあいいかなと思うのはせいぜい数点です。満足いくものを追い続ける終わりのない仕事です」
 
 「土を練って形を作り上げた時。不安ながら焼き上がったものを窯から取り出した時。2度の満足感、達成感が味わえる。それが焼き物の魅力でしょうか」と話す。
 
 今年も森方さんの自宅工房から人々の心を和ませる数多くの梟たちが巣立ってゆく。
 
 
【写真上】粘土を梟の形に作り上げていく森方さん。すべて形、表情が違う
【写真下】出来上がった作品は火炎や土の性質で窯変し、色や形が変わっている


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