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両丹日日新聞2006年6月13日のニュース

給料より高い利用料 自立支援法施行から2カ月

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 福知山市の知的障害者通所授産施設、ふくちやま作業所に通うAさんは、もうすぐ70歳。障害者自立支援法が4月に施行され、今までは必要がなかった施設利用料を払い始めた。その額は、作業所で働いて得る給料よりも多い。“お金を払って働きに行く”ことに疑問を感じ、一時は退所を決めて休んだ。しかし、もともと働き者で足は再び施設へ。今までの軽作業より実入りがいい持ち場へと移ったが、高齢の身にはこたえる。いつまで続けられるか不安な日が続く。

 支援法から障害者自立支援法に移り、数万円の障害基礎年金やわずかな給料で暮らす障害者は、深刻な状況に追い込まれている。新法では、施設などのサービス利用時の負担が、旧法の収入に応じた「応能負担」から原則1割の「定率負担」になったからだ。食費も全額自己負担に変わった。同作業所の場合、旧法では、ほとんどの通所者が最低所得階層に入り、利用は実質無料。給食費も必要なかった。

 4月以降、府や福知山市は、国の施策に上乗せする形で、独自に軽減措置を設けているが、それでも大半の通所者は給料を上回る額を支払っている。54人が通う同作業所では、4月の食費を含む負担は平均1万1570円。これに対して給料は平均1万1430円だが、9割近い人は8000円以下だった。

 負担の月額上限額は、世帯単位の所得で決まるため、防衛策として「世帯分離」という手段をとった通所者が7、8割に上る。しかし分離に抵抗を持つ人が少なくはない。ただ、生活をするためには割り切るしかないのが現状という。

 通所者だけでなく、施設の運営にも影響が出ている。報酬の計算が、従来の利用在籍者数に対する月単位から、利用実績に基づいた日割り単位となり、通所者が休めば、それだけ減収につながる。対策として定員の105%の利用予定者の受け入れが認められたが、通院などで休む人は毎日1割前後。同作業所の場合、4月は前年に比べて1割以上収入が減った。

 先ごろ、ふくちやま福祉会後援会が開いた講演会で、講師のNPO法人大阪障害者センター常務理事の井上泰司さんは「工賃がわずかでも、それが通所者の生きていく証し、励ましにつながっている」と強調。「障害者の孤立を防ぎ、定率負担の見直しをしなければ、大変なことになる」と警鐘を鳴らした。

 新法では、身体、知的、精神の障害区分が一本化される。旧法で福祉サービスを受けることができたのは身体、知的障害者だけだったが、サービスが極めて不足していた精神障害者も加わる。サービスが充実するため、これを評価する声もあるが、同作業所と同じ敷地内に建つ精神障害者通所授産施設、ふきのとう作業所では、新事業体系に移る10月以降に施設利用の負担がかかってくる。1日500円の食費はすでに4月から必要となり、これらを背景に2人が通所を断念した。安くあげるため給食をやめ、持ち込んだおにぎりで済ませる人もいる。

 「親を亡くして孤独な人も増えてきた。一緒に食べる給食を楽しみに通う人も多い。でも今は、みんなと離れた場所で食事をする人がいる」と、同施設関係者はうつむいた。

 新法は、国の財政安定化、障害の種類や地域によって起きる格差の是正など、期待されている点も多い。しかし、負担に応じきれない重度の障害者が、サービスを控えているのが現状。国の財政事情の厳しさを理由に、所得が低い障害者に重い負担を求める結果になっている。将来に不安を持ち、心を痛めている障害者や家族が多い現実を見る限り、新法は自立支援とはほど遠い。 (伊東利彦記者)


写真:負担が給料を上回る人が大半。収入を増やすため、持ち場を移った高齢の人もいる


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