両丹日日新聞4月20日のニュース
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自主防災組織の結成機運高まる 福知山市の各自治会が継続した取り組みを

 昨年10月20日の台風23号で全市的に災害が発生した福知山市。これまで低調だった自主防災組織の設立が、23号被災を機に相次いでいる。「全212自治会での設置をめざしたい」と、市が推進していることも要因だが、台風の経験や国内外での自然災害の発生をきっかけに、防災に対する住民自身の関心が高まってきていることも背景にある。今年度は設立ラッシュが予想される。

市が予算を増額し組織育成後押し

 95年の阪神淡路大震災では6千人以上が亡くなったが、救い出された被災者も多数いる。消防や警察機関だけでなく、隣近所の人たちの救助活動が大きな力になった。この震災以降、組織が見直された。

 市は2000年度から「自主防災組織育成補助事業」を毎年設けて、組織の設置や運営に補助金を出している。設置補助は、事業費の2分の1で補助限度額は5万円。消火器、ヘルメットなどの購入資金にあてる。運営補助は事務的経費として保険料、研修費などの事業費の4分の1を補助する。限度額は1万4000円。
訓練をする住民
 ところが、00年度から昨秋までに組織を立ち上げたのはわずかに13組織。府内の他市と比べて設置率は低かった。

 そんななか、昭和28年(1953)以来51年ぶりの大災害となる台風が昨秋、福知山を襲った。まさに忘れたころにやってきた災害だった。

 市による当日の避難勧告・指示の連絡態勢にはさまざまな問題点があり、自治会では自分たちの地域は自分たちで守る組織の重要性を痛感。市から自治会長あてに組織結成を推進する通達があり、機運は一気に盛り上がった。

 市は今年度予算で同組織育成補助事業に214万円を計上。昨年度予算の9万2000円から一気に増額し、後押しする構えだ。さらに、小学校区単位で説明会を開くことにしている。

 23号以降では、4月1日までに6自治会が結成。このほかの自治会でも話が持ち上がったり、福知山消防署に依頼して訓練をしたりと、設立に向けた準備が進んでいる。

「危機意識を持ってほしい」

 新たに立ち上げた自治会に話を聞いた。

 北本町1区の野田隆自治会長(62)は「23号のとき、避難勧告・指示が出ましたが、私たちの地域では避難した人が少なかった」と話す。伝達された避難先が区内から遠かったことも原因だが、「治水対策が進み、『堤防があるから大丈夫だろう』という意識が根底にあった」と自省しながら振り返る。

 この災害以降、区民の間で防災に対する関心が高まり、組織の必要性を実感。4月1日に「北本町1区自主防災組織」を立ち上げた。特徴は各組に50歳代ぐらいの防災班長を新たに任命したこと。災害時には率先して組単位で避難活動などにあたってもらう。

 また、一人暮らしのお年寄り宅を把握し、区内の防災マップも作成する予定で、いざというときに活用したいという。

 野田自治会長は「1区は福知山消防署のおひざ元にある。ここでの取り組みがほかの自治会にも波及すればいいのですが。年に数回は避難訓練などをしていきたい」とし、一過的な活動に終わらないようにしたいと希望する。

 結成したものの、課題を残す組織もある。厚自治会は3月5日、「厚防災会」を設立。しかし、地区内には集合住宅が多く、新住民への伝達が徹底できるのか、と頭を悩ます。芦田均自治会長(76)は「新旧住民が集まるふれあいまつりなどのときに、防災に関する話をしていきたい」と話し、機会を見つけては防災会のPRをしていこうと、あれこれと模索している。

 ある自治会長は組織結成の目的を、「災害に対して住民に危機意識を持ってもらうため」と明かす。過剰に不安感をあおることは得策ではないが、危機意識を持ち続けることがやがて安心感につながると期待する。そのためにも訓練など継続した取り組みが大切になり、後押しをしている行政もそれぞれの組織との連携を密にしなければならない。

 昨秋の台風23号災害から半年が過ぎた。「災害は忘れたころに…」を肝に銘じながら、しっかりと対応できる態勢を持続させていきたい。


写真:組織結成に向けた訓練をする住民(福知山消防署提供)


障害者自立支援法案の学習会 講師に立命館大教授

 福知山市昭和新町の府立中丹勤労者福祉会館で19日、応益負担(定率負担)について考える学習会が開かれた。応益負担とは現在、国会に提出されている障害者自立支援法案に盛り込まれているもので、実施されれば障害者は大幅な負担増を強いられることになる。講師の立命館大学の峰島厚教授は「このままではたいへんな値上げとなるが、知らない人が多いのが現状。障害者団体などが団結して、声を大にして反対してほしい」と強調した。

 障害者自立支援法案は、身体、知的、精神の障害別の福祉サービスを一元化するもので、成立すれば10月から順次施行される。改善される面があるものの、福祉サービス利用時の負担が重くなるなど問題が多いとして、こんごの生活を心配する声が出ている。このため、同市奥野部の知的障害者通所授産施設、ふくちやま作業所などの4施設親の会と福知山障害児(者)親の会が学習会を計画した。両丹日日新聞社など後援。
説明する峰島教授
 講師の峰島教授は、「一昨年4月に支援費制度が始まり、障害者がさまざまなサービスを利用し始めたが、昨年で約250億円の赤字が出ている。それを補うために障害者自立支援法案を核としたグラウンドデザイン案が提起された」と背景を説明した。

 しかし、ほとんどの人が知らないうちに決められようとしていると指摘。大きな問題点として福祉サービスの利用時の負担が、今までの所得に応じた応能負担から、原則として1割を徴収する応益負担に移ることを挙げた。

 現在の制度では、95%の障害者が最低所得階層にいるため、福祉サービスを自己負担なしに利用できているが、新制度では大きく変わる。「障害者本人の収入ではなく、世帯全員の合算収入で階層が認定されるため、低所得世帯から一般世帯に変わる人が多く、みなさんの場合で2万円から4万円程度の負担が増え、さらに食費などの自己負担が加わる。作業所で働くためにお金を払うといった矛盾が出てくる」と具体的に示した。

 講演後、参加者から「先が見えず、どうして暮らしていけばいいのか不安」「今、作業所で働いてもらっている給料の10倍ほどの負担を強いられることになる。余りにもむごい」と意見や質問が相次いだ。峰島教授は「このままでは負担増だけでなく、サービスの利用が制限されてくる可能性もある。全国各地で、さまざまな障害者団体が手を組むようになり、厚生労働省も改善について態度が変わってきている。まず知らない人に現状を伝え、負担増反対のため、小さな集会でも積み重ねてほしい。法案が成立する前に行政に説明を求めることも必要だ」と答えていた。


写真:応益負担について説明する峰島教授


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