両丹日日新聞11月8日のニュース
福知山のニュースは両丹日日新聞WEB両丹で

台風23号 流域全体に長時間の降雨、急激な水位上昇 工学博士の川合舞鶴工専教授に聞く

 大江町、福知山市など府北部に甚大な被害をもたらした10月20日の台風23号。1953年(昭和28年)の大水害「28災」に次ぐ規模と言われ、同町では高齢者2人が亡くなり、各地で床上、床下浸水が発生、がけ崩れ、道路冠水、堤防欠損などの大きなつめ跡を残した。なぜこれほどまでに大きな災害となったのか。由良川に詳しく、被災地を調査した工学博士の川合茂・舞鶴工業高等専門学校教授(56)に23号台風の特徴や水位の状況、今後の防災対策、情報伝達のあり方などを尋ねた。

 由良川は流路延長が146km、流域面積は1882平方kmで、淡路島の3倍の広さがあるが、延長に比べ、川幅が狭い。そのためこれまでに幾度となく中、下流域では洪水に悩まされてきた。

 今回の由良川の増水は、雨が長く降り続いたことが大きな原因−と川合教授は分析する。「時間雨量にして特に強い雨が降ったわけではない。上流の美山町から舞鶴市の河口まで、流域全体を雨域が覆い、いたるところで降っていた。時間雨量で見れば30−40ミリといったところだが、10時間以上降っていた地域もあった」。各地域で降雨の時間に差がない分、降った雨が同時に川に流れ、雪だるま式に増えていったという。
周囲が湖のようになった大江町
28災の2倍の水位上昇ペース

 このため水位は見るみるうちに上がり、大江町内では2時間で2.7m上がった場所もあった。28災の時は同じ町内で、4時間で2.5m上昇。この時と比べおよそ2倍のペースだった。川合教授は「町民も昭和28年の時はまだ家具などを2階に運ぶ余裕があったが、今回は水が一気に増え、『こんなはずは…』と驚く声があったようです」と話す。

 福知山市内での水位も、音無瀬橋で20日午後10時20分に危険水位の5mをはるかに超える7m55に達した。堤防上からは手が届くほど近いところまで上昇したが、その後下がっていった。

 川合教授によると、福知山、綾部の市街地などで大きな浸水を防げたのは、大野ダム(美山町)が目いっぱい貯水し、放流をとめるなどの措置をしたためという。「放流されていたら福知山、綾部も水が堤防を超えていたかもしれない」と話す。

 由良川のほか、今回は支川もあふれ、市街地などで浸水した地区があった。「通常だと、支川で増えた水が本川に流れたあと、本川の水が増えていくことが多いが、今回は本川も同じように増水したことから支川の水の行き場がなくなったと考えられます」

 防災面については、堤防を造ることが最適だが、堤防のない大江町などでは民地などが川に迫り、地形的に造りにくい条件にあるという。また築堤には莫大(ばくだい)な費用と時間がかかることもネックの一つになっている。

 このため国土交通省福知山河川国道事務所では現在、大江町で民家などを小堤防で取り囲む「輪中堤」の建設を進め、住宅地のかさ揚げが整備計画にあがっている。「整備計画の大きな変更はないと思うが、輪中堤などの計画を今一度検証してみる必要がある」と川合教授。石垣積みの上に家を建てるなどの先人たちの知恵も今後の対策に十分生かせるという。

教訓を生かして情報を的確に伝える訓練を

 避難誘導などの情報伝達の仕方についても触れ、「情報の出所となる柱を1本作っておくことが必要だが、それに頼りすぎるのもよくない」。水害の常襲地区ではその危険性を判断できる人を養成し、その人を中心に情報を的確に伝えていく訓練をすることが大事−という。

 台風23号と同様の大水害は、近い将来も発生する可能性がある。川合教授は「今回の水害を教訓に、行政も市民も、対策などについて良かった点、悪かった点を明らかにし、今後に生かしていかなければならない」と強調する。


写真:由良川が増水し、周囲が湖のようになった大江町(左下が町役場=10月21日、国土交通省福知山河川国道事務所撮影)


福知山城と平和公園に「文学のしるべ」を建立

しるべを建立 福知山市文化協会、市教委はこのほど、一般から募集した短歌、俳句、川柳の「文学のしるべ」を、福知山のシンボルの福知山城と平和墓地公園に建立した。

 しるべの建立は今年で30回目を迎えた。毎年、三段池公園、長安寺など市内の名所、旧跡から建立場所を決め、その地にちなんだ作品を市内の愛好者から募り、優秀作品を「文学のしるべ」にしている。

 今年は福知山城と平和墓地公園が建立地。寄せられた短歌、俳句、川柳合わせて110点余りの中から、場所ごとに1点ずつ、計6点を選び、ヒノキの板に記した。揮毫(きごう)は市内の書家、安達翠鳳さんに依頼した。

 今回で5回目の建立となる福知山城では午前10時から、盛岡登良夫・文化協会長ら実行委員会メンバーや作者が出て作業をした。作品にはそれぞれ福知山城の情景を思い浮かばせる天守閣や豊磐の井などの言葉が入っており、建立にふさわしい場所を慎重に選んだあと、穴を掘って立てた。


写真:福知山城でしるべを建立する関係者


最新のニュース 以前のニュース 連載・特集記事
福知山の最新ニュースをお届けします両丹日日新聞WEB両丹