両丹日日新聞10月21日のニュース
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台風23号福天地方に甚大な被害 大江町で女性2人死亡

 大型の台風23号は、福天地方に甚大な被害をもたらした。
 真っ暗闇の集落を水魔が一気に襲った。大江町は、死者2人を出す最悪の事態となった。まちの中心地の河守、蓼原をはじめ、各地で家屋の床上、床下まで水がつき、住民は各学校などに避難。主婦らが炊き出しに追われている。町役場も水に浸かり行政の機能は一時マヒ状態に。大江町は28災以来の大災害となった。

由良川音無瀬橋の水位 最高7.55m
 大型で強い台風23号は、20日午後1時ごろ、高知県に上陸し、大阪・泉佐野市付近に再上陸。21日朝、太平洋に抜けた。福天地方は20日午後から風雨ともに強くなった。雨は前日から降り続いていたため、市内を流れる弘法川、和久川などはたちまち水かさが増え、濁流となって由良川へ。その本流も水位は見る間に上昇した。

 音無瀬橋では警戒水位の4mを超えると間もなく、危険水位の5mさえ軽く突破、午後10時20分に最高水位7m55に達した。堤防上に立つと、「手を伸ばせば届くほど」の水だった。(写真上は土から戸田橋を望む。中丹広域農道一帯は湖のよう)

 福知山市は、災害警戒本部を午後4時に災害対策本部に変え、情報収集にあたった。夕方には冠水、浸水、土砂崩れなどの知らせが次つぎに届いた。福天地方では午後6時前、すでに20カ所で道路が寸断した。
 一夜明けた21日も、大江町をはじめ、各地で停電、断水が続き、市民生活に大きな影響が出ている。

福知山市街地にも避難指示
 市では20日夕から21日未明までに、半田、新庄など修斉学区の一部や庵我学区の大半など680世帯1796人に避難勧告が出された。さらに一段階上の避難指示は、旧市街地、戸田を対象に、最大6870世帯1万5833人に出された。これを受け、最高で計2742人が避難(20日午後10時現在)。貴重品や常備薬、おにぎりなどを詰めこんだバッグを持った人たちが、激しい暴風雨が収まるのを待ち、不安な一夜を過ごした。

 避難所では駐車場に向かう道路が渋滞。仕方なく自宅に戻ったり、知人・親類宅に身を寄せたりする人たちもいたという。

 福知山市が21日午前11時現在で確認している市内の被害状況は、床下浸水71件、床上浸水32件、冠水63件、道路崩壊37件などで、総数300件を確認しているが、まだ増える見込み。被害が大きかったとされた台風18号が130件だったのに比べると2倍以上で、被害の大きさを物語った。
 ライフライン関係では、三岳、北陵、金谷、豊富など簡易水道の6地区で断水9件が発生した。給水車を向かわせるなどで対応している。原因は水道管の破裂、ポンプの運転中止、取水不能など。金谷地区は同日中の復旧見込みで、残る地域の復旧は未定。

市街地堤防に増水が迫る

市街地の弘法川
国道9号など道路寸断
 夜久野町では、20日夕方から日置の国道9号が土砂崩れにより全面通行止めとなった。交通量が多い幹線道路のため身動きの出来ない車が長蛇の列を作った。

 夜久野町へ続く福知山の国道9号と府道談夜久野線も冠水や土砂崩れなどで通行止めとなり、町が孤立する状態となったが、同日午後11時ごろから復旧工事が始まり、21日午前中に片側通行になった。

 国道9号は大型車両など通行量が多く、上り下りともに足止めされ、一晩を車内で過ごした人たちが多かった。兵庫県方面に向かう車は21日午前8時30分現在で、夜久野トンネル前から福知山側に5km以上も続いていた。列の中にいた岡山県の運送業の男性(35)は「きのうから動いていない。国道9号が止まったらどこにもいけない」と疲れた顔で話していた。

 福知山市三岳地区でも台風23号による激しい風雨で、道路や河川に大きな被害が出た。国道426号では各地で土砂崩れや冠水が発生し、道路が寸断された。

 中佐々木では山が幅約15m、高さ約20mにわたって崩れ、国道をふさいだ。またこの現場からすぐそばでは軽自動車が流れ出した土砂に埋まった。周辺では約10台の車が取り残されたが、全員逃げ無事だったという。

 このほか佐々木川がはんらんし、道路の川側の路肩部分がえぐり取られ、通行には危険な状態となっている。現場では道路の土砂を取り除くなどの作業が急ピッチで行われている。

 また一ノ宮の三岳小学校ではグラウンド裏手の山から谷水が一気に流れ、体育館に入り込んだ。消防団など地元の人たちや教職員らが流れを遮断するなど懸命の作業。

 福知山市奥榎原の府道福知山山南線では、高谷山(標高約450m)を下って榎原川に注ぐ高谷川で、土石流が起こり、道路一面を覆いつくした=写真左

 高谷川は普段、府道をくぐって榎原川に注いでいるが、今回は20日夕方から、川底の石が「ごろごろ」と音を立てて流れ落ち、幅約3m、深さ約1・5mの川を埋めつくした。さらに雨脚が強まるとともに、石や土砂が道路上に流れ出し、全面通行止めになった。21日早朝から撤去作業を進めている。

福知山線復旧には21日いっぱいかかりそう
 台風の影響で、鉄道ダイヤは20日午後から大きく乱れている。線路への土砂流入などで、JR福知山支社管内の営業路線はほとんどの区間で運転を見合わせており、復旧までは21日いっぱいかかりそうだ。

 同支社によると、台風の大雨による影響で20日午後1時すぎから、管内の山陰線、福知山線、舞鶴線などで運転を見合わせた。その後、台風の通過で線路内への土砂流入、道床のバラス流出、信号設備の浸水などが各地で起き、復旧作業を急ピッチで進めている。

 21日午前11時現在、福知山駅を通る列車で運転しているのは山陰線の福知山-綾部間のみで、福知山線の福知山-篠山口間はバスによる代行輸送をしている。20日だけで特急、普通合わせて258本を運休し、約3万3000人に影響が出ている。


暗闇の集落を水魔が襲う 大江町役場も浸水、機能マヒ

 真っ暗闇の集落を水魔が一気に襲った。大江町は、死者2人を出す最悪の事態となった。まちの中心地の河守、蓼原をはじめ、各地で家屋の床上、床下まで水がつき、住民は各学校などに避難。主婦らが炊き出しに追われている。町役場も水に浸かり行政の機能は一時マヒ状態に。大江町は28災以来の大災害となった。

 町は由良川がはんらんし、一面海と化した。台風の接近とともに由良川の水位が上昇し、河守の町役場は、20日夜には庁舎1階カウンターまで急激に水に浸かった。災害対策に当たっていた職員は、急きょ2階に必要品を運び上げ、住民の災害対策にあたった。しかし、固定電話やコンピューター設備などが使用不能となった。

 近くの蓼原地区でも、民家に大量の水が押し寄せた。地元のスーパーでは従業員たちが建物の屋外に取り付けた看板の上に避難し、一夜を明かしたという。

 同集落を通る国道175号は、冠水して通行不能となり、蓼原地区では21日午前10時現在も通行できない。災害復旧で駆けつけた自衛隊員も舟や線路沿いを歩き復旧作業に向かった。

 蓼原の写真店経営、新治貢さん(63)宅は、1階の軒先近くまで水が上がってきた。1階和室や居間、台所などはすべて水浸しで泥に覆われた。和室の仏壇の壁やふすまなどには水がついた痕跡がくっきりと残った。

 新治さん夫婦は「停電で真っ暗闇のなか、あっという間に水が押し寄せた。懐中電灯の明かりで2階へ身一つで避難した。何も持ち上げることが出来なかった。電化製品や店の写真機材もすべて駄目です」と朝から後片付けに追われていた。

 近所の人たちも「どこから手をつけていいのやら分かりません。1階はすべて泥をかぶり何も使えません。近所のお年寄りの方に聞くと、28災と同じくらいひどい状況だと聞きます」と話し、部屋にたまった泥をかきだすなどしていた。

 福知山署などの調べによると、大江町河守で亡くなった2人は、伊藤綾子さん(75)と大槻秀子さん(94)と分かった。

 伊藤さんは21日午前9時15分に、大槻さんは同9時35分に、それぞれ捜索活動をしていた陸上自衛隊福知山駐屯地の部隊が死体で発見した。


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