両丹日日新聞7月28日のニュース
福知山のニュースは両丹日日新聞WEB両丹で

「見えない障害」低い認知度 高次脳機能障害

 交通事故や労働災害、病気などで脳が複雑なダメージを受け、その後遺症で物忘れや集中力の低下、感情を抑制できないなどの症状が出る「高次脳機能障害」。救急医療の進歩で、交通事故などでの救命率は高まっているが、その一方で、こうした重大な障害を背負う人たちが増えている。

望まれる周囲の理解、専門医療

 福知山市聖佳町の田中香織さん(34)もその一人。9年前の交通事故で植物状態に陥ったが、4カ月後に意識を回復、幸い一命を取り留めた。だが、危険を予知できないなど、見えない障害といわれる高次脳機能障害になった。現在はリハビリを続けながら、身体障害者通所施設の福知山共同作業所に通っている。

 父親の明さん(66)は、全国の200家族で組織する「頭部外傷や病気による後遺症を持つ若者と家族の会」副会長。「意識が戻ったあと、地元だけでなく、京都市、大阪市内の病院を回ったが、事故の後遺症としか告げられず、この障害と分かったのは3年半後。適切な治療や訓練を早く始めていたならもっと良くなっていたでしょう、と聴かされた。ショックでした」と顔を曇らせる。

府北部で初のつどい

 この障害を持つ人たちの社会参加を考えるつどいが24日、福知山市で開かれた。府北部で初めてだった。講師は、奈良市でクリニックを開業する脳神経外科医の山口研一郎さん奈良市でクリニックを開業する脳神経外科医の山口さんが講演した。診断できる医師が全国的に少なく、各地の患者と向き合う。15年前からこの障害の研究を始め、全国から訪れる患者や家族と向き合っている。

 厚生労働省の推計によると、高次脳機能障害と思われる人は全国で約30万人。福知山で100人前後と推定される。山口さんは「これだけ大勢の患者がいるのに、社会的認知度が低く、専門に取り組む医療関係者が全国的に見ても非常に少ない。リハビリ施設が各市町村に1カ所あってもおかしくない」という。

 「すぐに治療や訓練をすれば効果が大きい。社会復帰まで3、4カ月という例も多いが、月日がたつと問題は大きくなる」と話す。身体的な障害の程度が比較的軽く、見た目は健常者と変わらない人が多い。そのせいで周りの人から「怠けている」「変わり者」と誤解を受ける。その結果、精神的な落ち込みが加わって症状を悪化させてしまうことになると説明する。

 山口さんは今、就労支援にも力を注いでいる。「患者には若者が多く、長い人生を考えると避けて通れない問題」として、昨年9月に大阪市障害者支援センターの協力を得ながら、クリニックに相談窓口を設置した。全国初の試みでモデルケースとして注目を集めている。

ようやく国が診断基準などまとめる

 外見から障害が分かりにくく、定義もあいまいで、実情に合った障害者認定を受けにくい。だが、今年5月に患者や家族にとって明るいニュースが飛び込んだ。厚生労働省が、3年間のモデル事業を踏まえ、診断基準やリハビリ、社会復帰支援プログラムをまとめた。問題点も残るが、06年度からの全国実施をめざしているという。

 福知山でのつどいを主催した京都聴覚言語障害者福祉協会の主任相談員、村松充さんは「予想をはるかに上回る参加があり驚いた。同じ悩みを抱える人たちの交流の場を設けることを考えていきたい」と話し、こんごの活動に生かすために参加者から出されたアンケートの集約を急いでいる。

 田中明さんは「娘は作業所にとても喜んで通っており、職員の方たちの理解や支えもあり心強い」と喜ぶ一方、「高次脳機能障害のことをまだ知らされていない人が多い。それに、本人や家族が自立をめざしても、受け入れ施設がなければ社会復帰は困難極まりない。地元に専門医を紹介できる窓口を設置、最低週1回でも専門医の診断を受けられる日をつくってほしい。リハビリセンターも必要」と切望する。

 つどいには府北部だけでなく、府南部や兵庫南部の人たちも足を運んだ。本人、家族、福祉、医療関係者ら顔ぶれは多彩で、その数100人。周りからの正しい理解を得られず、孤立する本人や家族の苦悩は計り知れないものがあるが、知る人さえ少ない障害に、ようやく一筋の光が差し込み始めた。


写真:奈良市でクリニックを開業する脳神経外科医の山口さんが講演した。診断できる医師が全国的に少なく、各地の患者と向き合う


完成したソーラーカーを外で試走させる子どもたち夏休みに環境問題考える 福知山RCが小学生対象にエコカーワークショップ

 環境保全運動に力を入れている福知山ロータリークラブ(足立重義会長)は、夏休みに環境問題を考えるきっかけにと、27日に福知山市牧神谷の市リサイクルプラザで小学生を対象にした「エコカーワークショップ」を開いた。市内の児童43人と保護者が参加。太陽電池パネルを使ったソーラーカーを作って走らせた。

 午前中はリサイクルプラザの施設見学とビデオでの学習をし、午後から工作の時間。プラザの職員やロータリー会員15人、福知山ローターアクトクラブの若者4人が、子どもたちの指導や細かな細工の手助けをして組み立てていった。

 材料は食品トレーと太陽電池パネル、モーター、タイヤなど。トレーを重ねて車体にし、カッターナイフで形を整えた。中には切れ端をウサギの人形に切り抜いて運転席に乗せる子もいて、思いおもいに工作を楽しんだ。

 出来上がったソーラーカーは屋外へ持ち出し、太陽の光で実際に走らせ「うわ、本当に動いた!」などと歓声をあげていた。


写真:完成したソーラーカーを外で試走させる子どもたち



最新のニュース 以前のニュース 連載・特集記事
福知山の最新ニュースをお届けします両丹日日新聞WEB両丹