両丹日日新聞7月20日のニュース
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食卓に安全と安心届ける エコファーマー認定農家

化学肥料や農薬減らして11人が様々な技術導入 福知山市地場野菜出荷組合

 環境に優しい農業に先進的に取り組む「エコファーマー」の認定農家が増えている。環境の保全と食に対する安全・安心意識の高まりから、市場や小売店でも認定農家の農産品に消費者の人気が集まっている。福知山市の公設市場に出荷する同市地場野菜生産出荷組合連絡協議会(菊田哲夫会長)では現在、トマトやナスなどの生産農家11戸が認定を受けている。しかし、福天地方ではまだPR不足もあって、地元の消費者によく知られていないのが現状だ。

 エコファーマー認定制度は1994年、環境保全型農業を進める持続農業法で制定された。農林水産省令による生産方式を基に、各都道府県知事が地域事情に合わせて指針を定め認定する。

 認定条件は、(1)土づくりを基本に(2)化学肥料の低減(3)化学農薬の低減の技術導入が挙げられている。(1)から(3)にはそれぞれにいくつかの具体的な導入技術が示され、その中から可能な技術を最低1つ選び、組み合わせて導入する。

 例えば(1)は、土壌調査の結果を基に、たい肥などの有機物資材の施用▽レンゲなどの緑肥作物を栽培し農地にすき込む緑肥植物利用−の技術が挙げられ、いずれかを選び導入する。

 (2)は、肥料成分の溶け出す速度を調節する▽肥料を作物の根の周辺に局所使用する▽なたね油かすなどの有機質肥料を代わりに使用する−の3つの技術のうちいずれかを導入する。これにより化学肥料の使用量を減らす。

 (3)は、田畑の表面を紙やフィルムなどで覆い雑草の発生を抑えるマルチ栽培をする▽アイガモやコイなどを水田に放して除草させる▽害虫の天敵となる昆虫を放したり植物を植えたりして防除する−など7つの技術から選び、散布する農薬使用量を減らす。

 こうした技術を組み合わせて導入することで、ホタルやタニシなどが生息できる自然環境や人に優しい、持続性の高い農業が可能になる。また、より安全・安心な食品を求める消費者ニーズに応えることができる。それが消費・生産の拡大につながっていく。

 国は、こうした技術導入に伴う農業改良資金の貸し付け償還延長や、農業機械をリースした場合の所得控除などの面で特例措置を設け、認定農家を支援している。

 今年3月末現在、全国で4万7766人、近畿で1095人、府内で161人が認定を受けている。福知山市では、02年4月にトマトなどの生産農家9人、今年6月にナス生産農家2人の計11人が取得。夜久野町でもすでに2人誕生している。

トマトの世話をする菊田さん土づくりにこだわり努力 価値が認められる作物を

 福知山市牧のハウス栽培農家、菊田哲夫さん(70)も02年に認定を受けた。市の公設市場に農産物を出荷する農家で組織する地場野菜生産出荷組合連絡協議会の会長を務める専業農家だ。

 菊田さんは、大江高校農業科で学び、農業一筋にやってきた。現在は大型ハウス3棟(約21アール)で、季節に合わせてトマト、ホウレンソウ、シュンギクを栽培している。

 その際、認定条件の一つにもなっている「土づくり」には、昔から特に力を入れてきた。ハウス栽培を始めた24年前(1981年)から、すでに一切化学肥料は使っていない。

 その分いろいろと工夫を重ね、行き着いたのが特製たい肥。もみ殻と小麦殻、せんていした街路樹などを細かく粉砕したものを天然発酵剤で完全に発酵させる。油かすや米ぬかを発酵させても作る。それらを土にすき込み、化学肥料より優れた土壌を作り出す。

 農薬もほとんど使わない。例えばトマト栽培の場合、害虫のアブラムシなどは黄色に寄り付く習性を利用して黄色の粘着板をハウス内に吊り下げて捕殺する。防虫ネットも活用する。ただ、網目の細かいネットは、湿度が上がりカビなど病気の発生につながることからあまり使わない。そしてよい土で育てれば元気な作物ができ病気は防げる。農業は土づくりという。

 「私は食糧難の時代に育ってきました。だから子どものころから将来は農業をと決め、今日までやってきました。なかなか完璧(かんぺき)な土づくりはできませんが、昔から消費者の方においしい安全・安心な野菜を提供することを常に考えてやってきました」と菊田さん。

 そして「一般農家とどこが違うのか。認定農家として、その価値を消費者に認めてもらえる農産物を作る必要がある。価値の下がるものを作れば全国の認定農家の努力が無駄になってしまう。常に価値を高める努力を続けないといけない」と話す。

 品物は、市公設市場を通じて市内のスーパーなどで販売されている。エコファーマーの商品であることを示す全国共通のロゴマークもあるが、同連絡協議会のトマト生産農家では、トマトを図案化した共通のシールを作って出荷する際に袋に張っている。ナス用なども作る予定でいる。こんご同協議会として消費者にエコファーマーの存在とその商品をPRしていきたいという。

 府中丹西農業改良普及センターの亀井重義所長は「限られた面積の中で化学肥料や農薬を使って収量を高める従来型生産方式では、これからはやっていけない。ここ数年の食にかかわる様々な事件で、国民の関心が高まり、消費者はより安心できる安全な確かな食品を求めている。この環境保全型農業は、消費者にはもちろんのこと、化学肥料・農薬を使わない、また使用を減らすことで、自然環境に、作り手の農家の人にも優しい農業をめざしている」と、その推進に努めている。


写真:ハウス内でトマトの世話をする菊田さん。ハウス内には害虫を退治する粘着板が、いたる所に下げてある


子どもたちのパラダイス駄菓子屋「田中」 おばちゃんとの話も楽しみ

 「おばちゃん、これなんぼ」「これも買うわ」。狭い店内に子どもたちの元気な声が飛び交う。福知山市東佳屋野町に、昔ながらの駄菓子屋がある。店の名前は「田中」。学校が終わると「田中へなんか買いに行こか」を合言葉に、多くの子どもたちが集う。

 迎えてくれるのは店主の田中吉野さん(67)。田中さんはもともと、現住所近くの小松が丘に住んでいて、37年前に夫の春次さんと魚屋を始めた。店の一角に駄菓子を置くようになったのもこのころ。現在のところに移り、13年前に春次さんが亡くなってから、長男の手を借りて、しばらくは魚屋をしていたが、仕入れに手間がかかることから、魚を扱うのをやめて、駄菓子販売一本にした。

ガムや あめ、 くじ付きの菓子…所狭しと

子どもたちとの会話も楽しい 店頭に看板は掲げていないが、赤いひさしが目印となる。店内の広さは22平方m。そこにはガムやあめ、アイスクリーム、ソースせんべい、綿菓子などが所狭しと置いてある。値段は10円から60円ぐらいまで。くじ付きのもので、当たると金額分の菓子がもらえる特典もある。昔懐かしいきなこをまぶした菓子もあり、夏の時期はゼリーを凍らせたものがよく出るという。

 店を開けるのは子らが学校から帰ってくる午後3時ごろで、夏だと午後6時30分、冬だと6時前に閉める。「用事がない限りは毎日開けていますよ」

 子どもたちが帰宅後、次々とやって来る。小さなかごをもらい、その中に好みの菓子類を入れて代金を払う。最初にお金を渡し、金額分の菓子を買う子もいる。田中さんはほとんどの商品の値段を覚えており、さっと計算して金額を言う。買う菓子をすでに決めて、すぐに店を出る子やおいしいものを選ぼうと迷ってしまい、長い時間いる子も。買った菓子は店の前で食べる子が多いという。雀部小学校2年生の水上智好さん(8)は「いろんなものがあって楽しいし、お菓子は全部おいしい。これからもずっと来たい」と話す。

悪いことをしたら しかる

 田中さんは、普段は優しく接しているが、子どもたちがけんかをしたりすると、親と同じようにしかる。悪いことは悪いときちんと教える。子どもたちも田中さんの言うことをよく聞く。また子らは菓子を買うだけでなく、田中さんとの会話も楽しむ。田中さんが話をしない時、「おばちゃん、しんどいんか」と声を掛けられたこともあった。

子らの悩みも聞いて

 ある日、常連の高校1年生の男子生徒が、入学間もなく、店にやって来て「もう学校に行きたくない」と田中さんに打ち明けたことがあった。田中さんは「せっかく入ったんやから、高校だけは出とき。卒業できたらお祝いしてあげるから」と勇気付けた。

 この生徒はその後、学校に通い続け、通学、下校の際も田中さんに会う度に「おはようございます」「帰りました」とあいさつ。無事に卒業することができた。田中さんは今春、卒業の報告に来たこの生徒に、約束通りケーキをプレゼントした。

 店内に招き猫が飾ってあるが、これは9年前、当時、中学3年生の男子生徒が修学旅行のみやげにと買ってきたもの。田中さんは子どもたちの素敵な贈り物として、大事にしている。

 店には子どもだけでなく、大人も子ども連れで来る。どんな店か一度見たいと思い訪れ、店の雰囲気を見るなり「ここなら安心」と太鼓判を押す母親もいる。

いつまでも子どもの顔を見ていたい

 田中さん宅はすでに長男、長女とも家を離れている。しかし「店にやって来る子どもたちとしゃべっているから寂しくありません」という。近年ではスーパーなどが増え、以前よりは来店する子どもの数が減った。だが、店には平均で毎日、30人程度は来るという。

 子どもたちに「もうかるん?」と聞かれることがある。「もうかれへんけど、あんたらの顔が見られるでやっとんやで」と、田中のおばちゃんは答える。


写真:店内では、子どもたちとの会話も楽しい


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